▲イラスト=UTOIMAGE

 カジノで現金の代わりに使われる最高額のチップを指す「ブルーチップ」という用語は、日常生活でもよく使われる。ニューヨーク証券取引所はブルーチップを「品質と信頼性、そして景気が良い時も悪い時も収益を出せる能力という面で全国的な名声を得た企業の株式」と定義している。韓国では大型優良株であるブルーチップほどではないが、堅調な業績を上げる中小型株をイエローチップと呼ぶ。欧米にはない韓国式の造語だが、韓国では定着している。

 ブルーチップは好況時に相場の上昇を主導し、不況期にも簡単に下落しない。歴代政権のあらゆる不動産規制にもかかわらず、「不敗神話」を続けてきたソウル・江南のマンションが代表的だ。それに対し、イエローチップは上げ相場でブルーチップより遅く上昇し、下げ相場では先に下落する。

 ブルーチップは業界トップ企業としてのプレミアムを享受している。法律サービス業界首位のキム&チャンは、外資系企業の法律諮問を独占していることで有名だ。外資系企業の役員にその理由を尋ねると、「実力もあるが、たとえ訴訟で敗れても、本社に『韓国最高のローファームを使ったのに駄目だった』と言えば、釈明が容易だからだ」と答えた。他の法律事務所を使って敗訴すると、「なぜ業界トップを使わなかったのか」と叱責されてしまうからだ。

 ブルーチップは相対的な概念だ。比較対象が何かによって異なる。ソウル大は韓国の国内の中では他を寄せ付けないブルーチップだが、世界の超一流大学と比較すると「井の中のかわず」だ。

 米国発の景気低迷懸念で世界の金融市場がジェットコースターのように変動したこの数日は、韓国証券市場がイエローチップだという素顔がはっきりした。韓国、日本、台湾の株式市場がいずれも過去最大の下落幅を記録した6日、韓国総合株価指数(KOSPI)は8.8%下落した。一方、危機の震源地である米ナスダック指数の下落率はその半分にも満たない3.4%にとどまった。

 日経平均が12.4%も暴落したことが韓国にとっては慰めだったが、日経平均は翌7日に10.2%急反発する驚くべき回復力を示した。同日のKOSPIの上昇率(3.3%)に比べ3倍を超えた。英フィナンシャル・タイムズや米ウォール・ストリート・ジャーナルなどの世界的な経済メディアは「アジアブラックマンデー」を伝える記事の焦点を日本株に合わせた。韓国株式市場については、記事の途中で「KOSPIも大幅に下落した」という程度で軽く触れただけだ。アジアの株式市場でブルーチップがどこなのかが白日の下にさらされた。

 専門家は外風に弱い韓国株式市場の構造的問題を改善するためには、先進国指数入りを急がなければならないと助言する。世界の15兆ドルの投資資金がベンチマークとするMSCI(モルガン・スタンレー・ワールドキャピタル・インターナショナル)指数で、日本は最上位の先進国市場(DM)に、韓国はそれに準じる新興国市場(EM)に属している。新興国の経済危機に詳しいハーバード大のカーメン·ラインハート教授は「経済危機が発生すれば、世界の投資家は新興国から先に資金を引き揚げるが、経済が回復すれば先進国に先に投資する」と指摘した。韓国が新興市場にとどまる限り「落ちる時にはがくりと沈み、回復する時は徐々に上がる」状況がいつも繰り返される可能性がある。先進国指数への組み入れは言うほど簡単なことではない。外国為替市場の24時間運用や空売りの全面解禁などMSCIが前提条件として掲げた難題を解決する必要がある。韓国が2008年から数回にわたり先進国指数入りを試みたものの、そのたびに苦杯をなめたのはそのためだ。韓国政府が推進するバリューアップ(企業価値の改善)目標にMSCI先進国指数入りも含め、着実に解決策を探ってもらいたい。

羅志弘(ナ・ジホン)記者

ホーム TOP