▲イラスト=イ・ヨンジュ(朝鮮デザインラボ)

 10年前に作ったパスポートの有効期間が満了まで残り6カ月を切ったため、久しぶりに写真屋さんを訪れた。今回初めて訪問した写真屋は、風変わりなことに経営者が外国人だった。写真の撮影時間は5分だったが、写真を受け取るまではさらに50分かかった。私ではない私を作り上げる写真の補正作業のためだった。パスポートの写真でもあり、顔のどこをどのように手入れすればいいのか分からず、「適当に」と頼んだのが事の始まりだった。

 「パスポート写真なのに両耳がなくなっている」と言うと「耳の規定が改正されたので大丈夫」とし「違和感があるなら、きれいに写っている方の耳をコピーしてもう片方に付けることも可能」と言った。耳から始まった社長の言う「適当に」は、開いた口がふさがらないくらい多岐にわたっていた。目を大きく拡大し、赤く充血した白目からは赤い部分を除去して白く塗った。同じようにフォトショップで目の下のクマを消し、非対称となっている肩の高さまで合わせてくれた社長が、マウスを握った手を離し、手首のストレッチングをし始めた。

 訳もなく申し訳ない思いになった私の口からは、知らないうちに「ご苦労さまです」という言葉が飛び出した。韓国語が流ちょうな同社長は「慢性疲労は仕方ない」とし「韓国に来て10年ほどたったが、初めて来た時のことを思えば、最近韓国人の顔を見ると疲れがたまっているように見える」と言った。さらに「仕事の間はモニターばかりを見つめているため、首が前のめりになってしまった。実を言うと、私の写真も前のめりになっている首の補正から始まる。皆同じだ」と言って笑った。「こうやって働いて家に帰った後、ビールを1本空けて寝るのは韓国人と同じ。いつの間にか韓国人になった」という。補正する間、拭い去ることのできなかった不安な思いが妙な同質感で解消されていった。

 一時、いわゆる「クッポン」(国に対する盲目的な自尊心をさげすんで言う語)ユーチューブ・チャンネルで、韓国を訪れた外国人が「韓牛」を食べて感嘆する映像をよく目にした。肉の味に感動し、サムジャンの味にいちいち感嘆するクリシェ(ありきたりの決まり文句の意)のような映像が数え切れないほど出回った。最初は面白いと思ったが、すぐに飽きてしまった。韓国に対する偏見と外国人に対する偏見を同時に育んでいるような気分だった。映像だけを見ていると、出身地や国籍に関係なく、韓牛を嫌う外国人は存在し得ない。

 法務部(省に相当)によると、昨年の韓国在住外国人は約250万人で、全人口の4.89%に上るという。道を行き交う人の20人に1人というわけだ。経済協力開発機構(OECD)は、内国人への帰化、内国人の母国移住と外国人人口を合わせた移住者人口が全人口の5%を超えると「多文化・多人種」国家として分類されるが、韓国もそう遠くない。

 そのため、韓牛やプルダックポックンミョン(辛味鶏炒め麺)などの「モッパン」(食事の場面を収録した動画、グルメ番組)ユーチューブからは感じられない現実が、あちらこちらで見受けられるようになった。始華国家産業団地に行くために京畿道安山駅で降りた際、ある整形外科医の看板が目に付いた。治療項目がいろいろな外国語に翻訳され、表記されていたのだ。故郷の村では一時「ベトナム風傘帽子」が人気だった。人手が足りず農村でも外国人労働者はすでに必須となっているが、彼らが仕事をする際に強い日差しを避けるため、帽子のようにかぶって顎ひもで締める小さな傘が話題となったのだ。オンライン・ショッピングモールでもすでに販売されており、幾つか注文して家に送った。Kポップ、Kドラマのような「K」シリーズが依然として人気だが、外国人、そして外国人が韓国社会に持ち込んで来た文化も、今では見慣れるようになってきた。韓牛とプルダックポックンミョンに「うまい」と言って親指を立てる外国人をいちいち出演させる必要性は、なくなってきているように思う。

イ・ジョング記者

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