▲「出逢(あ)いをありがとう、また来てけさいん」と宮城の方言で書かれた横断幕を持って韓国人学生たちを見送っているホームステイの家族たち。/キム・フィウォン記者

 7月16日、日本の東北地方に位置する宮城県の南三陸311メモリアル。朝早く母と手をつないで同地を訪れたゆうた君(10)、だいち君(8)、ちひろちゃん(6)兄妹が泣き出した。この地域の南三陸町にある兄妹の家で2泊3日にわたって一緒に過ごした韓国人大学生の「お兄さん」たちを乗せて出発するバスが到着すると、別れ惜しさで涙を見せた。次男のだいち君は大学生のパク・スンウォンさん(26)、リュ・チェウさん(24)、イ・チャンヒョンさん(21)に「今度は絶対韓国で会って、一緒にキャッチボールしようね」と固い約束をした後、バスが見えなくなるまで手を振りながら涙を拭った。

 リュさんに3日で子どもたちの心をつかんだ秘訣(ひけつ)について聞いてみたが「これと言ってしてあげられたことは何もない。よく分からない」と言った。短い時間で子どもたちとこれほどまでに親しくなるとは思わなかったと言うリュさんは「床に座ってゲームをし、一緒にご飯を食べ、夜になると花火をしていたら、いつのまにか実の弟のように親しくなった」とし「この村では20代のお兄さんたちをめっきり見掛けなくなったせいか、子どもたちが別れを惜しんでいるようだ」と話した。日本を離れる前に子どもたちからもらった手紙には、くねくねとした字で「いろんな遊びを教えてくれてありがとう。だいちより」と書かれてあった。

 3兄妹の故郷である南三陸は、仙台空港から車で約2時間も離れている人口約1万1000人の田舎町だ。観光地どころかコンビニに行くにも30分は歩かなければならないこの小さな町に、どうやって韓国人大学生たちが訪れたのだろうか。

 駐韓日本大使館が、同地域の観光協会による村の活性化のためのホームステイ事業と韓国人学生をつないでくれた。寂しい村の高齢者の中から希望者を募り、審査を経て、ホームステイ先として指定。問題なくホームステイが終了すれば所定の報酬を支援する。この村だけで約20世帯がこうしたホームステイ先に指定されており、全ての家庭が同時に学生を受け入れれば計50人程度を宿泊させることができるという。同日、ここでもリュさんのほかに約30人の韓国人大学生が日本の家族と涙のお別れを告げた。

 この出会いが特に意味深かったのは、同地域が2011年の東日本巨大地震の時、津波で大きな被害を受け、傷痕を抱えている村だからだ。当時、日本全国で集計された死亡者数(1万9759人)のうち53.4%(1万569人)が宮城県で発生し、まだ家族の元に戻っていない行方不明者も1000人を超えている。小さいながらも活気に満ちていた漁村の南三陸も一瞬にして廃虚となり、若者たちは村を去っていった。約10年間復旧にまい進した結果、物理的な災害の痕は消えたものの、津波で家族を失ったり、家が流されたりした人々は、いまだに災害へのトラウマを抱えている。

 そのため、若者たちが訪れるだけで村には活力が戻ってくる。二人の息子を独立させ、この山の麓の家で二人きりで暮らす吉田あつこさん(67)とせいいちさん(69)夫婦が、見知らぬ韓国人大学生を快くホームステイで受け入れることにしたのもこのためだ。あつこさんは「男子学生3人が家をいっぱいにしてくれたおかげで、静けさがなくなった。息子たちが幼かった頃を思い出した」とし「学生たちが皿洗いや洗濯も手伝ってくれたため、家族が増えたが全く大変ではなく、むしろ若返った気分」と話した。

 この家に宿泊した大学生のペ・シジュンさん(23)は「おばあさんが地元の特産物である取れたばかりの銀ザケを買ってきて、直接刺し身をごちそうしてくれた。おなかが張り裂けるほどいっぱい食べた。こんなに貴重なおもてなしを受けてもいいのかと思った」と話した。学生たちも決して上手とは言えないが、料理をして家事を手伝った。カン・ジュンギさん(20)が豚カツの揚げ物を担当し、イ・ジュンフィさん(21)があんを入れてヨモギを作った。ナス、ピーマン、ジャガイモ、白菜、インゲン豆など、ほとんどの野菜は山の菜園から収穫した。

 隣町の登米市で6棟のビニールハウスを作って営む74歳の熊谷きくこさんも、韓国の青年たちにお礼を言った。きくこさんは「一人で畑仕事をしなければならないので、収穫が間に合わなかったミニトマトが落ちて腐っていたが、明るく誠実な青年たちが来てくれて本当に助かった」と話す。ソウルで生まれ育ったため畑仕事の経験はないというキム・ドヨンさん(24)は「これまでは単に食べるだけだった。畑で収穫した食材で直接料理したのは今回が初めて」とし「ここに来ておいしいトマトをたくさん食べたので、韓国に帰った後はしばらく食べなくてもよさそうだ」と笑った。

 日本は地方活性化のため、政府レベルでホームステイを積極的に奨励している。特別な観光資源がなくても「田舎生活」そのものが都会の青少年や外国人には新鮮な体験になり得るという思いからだ。札幌から沖縄まで日本全域の農漁村で「ふるさと」ホームステイ体験プログラムを運営している農林水産省は、小中高生の農漁村長期宿泊体験者を増やすため、2018年から自治体に交付金を支給している。これに歩調を合わせるように、厚生労働省も20年の東京オリンピックを控え、観光用のホームステイ営業を許可制から申告制へと緩和し、ガイドラインを作って地域内の家庭で観光客が宿泊できるようにした。

キム・フィウォン記者

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