韓国検察が最近、李在明(イ・ジェミョン)共に民主党前代表をはじめとする野党国会議員・秘書陣、ジャーナリストなどの通信資料を照会したことに対し、共に民主党が「政治的査察」だとして強く反発している。これに対し検察は「裁判所が交付した令状を通じて確保した被疑者と重要参考人の通話記録に登場する電話番号の加入者情報を確認するための『加入者照会』だ。査察と表現するのは悪意ある歪曲(わいきょく)だ」と反論している。

■3年前にも論争

 民主党の李在明元代表と秋美愛(チュ・ミエ)議員などが2日から3日にかけ、検察から携帯メールで通知を受けた「通信資料照会」は、捜査機関が被疑者や重要参考人の通話記録から番号を入手した場合、それが誰の番号かを確認する手続きだ。電気通信事業法に従い、SKテレコムなど通信事業者に協力を要請し、加入者名など単純な情報のみを確認する。裁判所の通信令状で通話の内訳に関する情報の提供を受ける場合とは異なる。

 ソウル中央地検は昨年9月から「大統領選介入世論操作」事件などの捜査で通信令状を取得し、被疑者による通話の内訳を確保した。電話番号しか分からない相手が誰なのか確認した形だ。検察関係者は「照会で確認された情報は加入者の人的事項と加入・解約日時程度だ。個人別の通話着信・発信記録は確認していない」と説明した。

 政治家とジャーナリストに対する「通信照会」を巡る論争は3年前にも起きた。TV朝鮮は2021年4月、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が金学義(キム・ハクウィ)氏に対する違法な出国禁止処分の「もみ消し」疑惑が持たれた李盛潤(イ・ソンユン)ソウル高検長(当時)を取り調べる時、金鎮煜(キム・ジンウク)元公捜処長の官用車を送るという礼遇を行ったことを示す監視カメラ映像を報じたことが発端になった。公捜処は当時、この疑惑を取材した記者とその家族および知人など170人余りのほか、「告発教唆」事件で国会議員など80人余りに対する「加入者照会」を行った。うち一部は裁判所の令状を受け、通話の内訳まで調べたことが明らかになり論争が拡大した。

 公捜処が通信照会の事実を当事者に通知しなかったことも問題になった。電気通信事業法に関連規定がなく、当事者が通信会社に直接照会があったかどうかを確認しなければならなかった。未通知問題を巡っては、憲法裁判所が2022年7月に違憲判断を下している。それを受け、国会は昨年末、捜査機関が通信情報の提供を受けた後、30日以内に照会内容や使用目的などを当事者に通知することを盛り込んだ法改正を行った。ただ、証拠隠滅の恐れがある場合には最長6カ月まで通知を猶予できる。その結果、検察が今年1月に照会を行っていたことが最近になって当事者個人に通知されたのだ。

■政権変われば立場も変わる与野党

 民主党の朴贊大(パク・チャンデ)院内代表は5日、「総選挙の直前に野党とマスコミを相手に広範囲で組織的な政治的査察が行われた背景は何なのか。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が直接国民の前で説明すべきだ」とし、「(現政権は)ゲシュタポ(秘密警察)がはびこるナチス政権だ」と述べた。民主党は同日、検察から通信照会の通知メールを受け取った議員と秘書陣から文書番号、提供日などの情報を集めた。また、国会法制司法委員会の姜白新(カン・べクシン)水原地検城南支庁次長検事に対する弾劾聴聞会でこの問題を扱うことも検討するとした。通信照会が行われた当時、姜次長検事がソウル中央地検の反腐敗捜査1部長だったためだ。一方、国民の力の秋慶鎬(チュ・ギョンホ)院内代表は「検察は法と原則に従って捜査しているはずだ」と述べた。

 2021年の公捜処を巡る論争の際には正反対だった。民主党は「捜査基礎資料を収集するためのもの」「査察ではなく合法的捜査行為だ」と主張した。当時、大統領候補だった李在明元代表は「法令による行為を査察とは言えないのではないか」と発言した。しかし、国民の力の候補だった尹大統領は「自分と妻、妻の友人、さらには妹まで通信査察を行った。狂った人たちではないか」と批判した。

イ・ミンジュン記者、キム・サンユン記者

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