社会総合
基準値の11倍…避暑客でにぎわう楊州市の渓谷でセーヌ川を超える大腸菌検出【独自】
京畿道楊州市の日迎遊園地内の渓谷で7月10日、水100ミリリットル当たり5500CFU(コロニー形成単位、Colony-forming unit)の大腸菌が検出された。これは100ミリリットルの水に5500の大腸菌コロニー(集団)が存在することを意味する。
現在パリ・オリンピックで問題になっているセーヌ川の大腸菌(2000CFU)の2.7倍以上も高い数値だ。パリ五輪のトライアスロンではセーヌ川で水泳などを行ったある選手が10回も嘔吐(おうと)し、また一部選手たちは健康上の理由から棄権した。
日迎遊園地で大量の大腸菌が検出された原因は明らかではない。当初は雨が多く降った影響で近隣の下水施設や道路から汚染された水が流れ込んだ可能性が考えられたが、その後も基準値以上の大腸菌が検出されている。
■水100ミリリットル当たり5500の大腸菌コロニー…基準値の最大11倍
各地の自治体と保健環境研究院は毎年夏に多くの行楽客などが訪れる川などを対象に水質検査を実施している。日迎遊園地もソウルに近いため、夏のバカンスシーズンには首都圏などから多くの行楽客が訪れる施設の一つだ。
京畿道保健環境研究院や楊州市などによると、7月第2週(7月10日)に日迎遊園地の上流で採取した水100ミリリットルから5500の大腸菌コロニー(CFU)が検出された。韓国環境部(省に相当)が水環境保全法施行令で水遊びなどを禁止する大腸菌勧告基準は水100ミリリットル当たり500CFUだ。つまり日迎遊園地では基準値の11倍の大腸菌が検出されたことになる。
日迎遊園地の水質が極度に悪化し始めたのは7月第1週(7月4日)からだ。水質検査チームが上流、中流、下流の3カ所で水質検査を行ったところ、中流と下流では異常は発見されなかったが、上流では100ミリリットル当たり2400CFUの大腸菌が検出された。
それから6日後の第2週の調査では上流で5500CFUの大腸菌が検出された。この時も中流と下流では特に異常はなかったという。
保健環境研究院の関係者によると、日迎遊園地の水質検査は今年が初めてではなく、以前から実施されてきたが、昨年も一昨年も(大腸菌の基準値を)超過することはなかったという。
■パリ五輪トライアスロンが行われたセーヌ川よりも多くの大腸菌…原因は今も不明
今回の日迎遊園地での水質検査結果は最近パリ五輪トライアスロンで問題になっているセーヌ川よりも悪い。米CNNテレビは「今年6月30日の時点でセーヌ川から100ミリリットル当たり2000CFUの大腸菌が検出された」と報じた。セーヌ川では水質悪化の原因は雨と考えられている。CNNによると、上記の結果が出た水質検査は雨が降った直後に行われたという。
その後パリ五輪組織委員会は7月30日(現地時間)に予定されていた男子トライアスロン競技を雨を理由に延期した。7月26日と27日に降った雨でセーヌ川の水質が競技に不適切と判断されたためだ。ワールドトライアスロン(連盟)によると、競技に必要な基準は水100ミリリットル当たり1000CFU未満だ。
日迎遊園地も7月第1週と第2週の水質検査の際に多くの雨が降ったという。楊州市の関係者によると、この2回の水の採取はいずれも雨が降った後に行われたようだ。通常だと汚染物質は雨で流されるが、一方で外の道路などから汚染物質が新たに川に流れ込むこともあるという。
その後7月第3週(7月16日)の検査ではいずれも基準値を満たした。当時上流で検出された大腸菌は100ミリリットル当たり160CFUで、中流と下流は2桁台だった。
ところが7月第4週(7月25日)の検査では再び不適合の結果が出た。中流と下流はいずれも100ミリリットル当たり1400CFUで、基準値(100ミリリットル当たり500CFU)の2.8倍だった。上流では19CFUだった。
7月第4週の結果について保健環境研究院の関係者は「原因究明のため遊園地周辺の飲食店などによる下水や汚水の放流などさまざまな可能性について調査を行っている」とした上で「中流と下流での基準値超過はふん便が原因の可能性が高く、何者かのふん便が流入したのではないか」と述べた。
楊州市の関係者も「明らかな原因はまだ解明されていないが、下水とふん便が流入した可能性などについても確認中だ」と説明した。
保健環境研究院と楊州市は8月にも日迎遊園地に対する水質検査を実施する計画だが、8月第1週の結果はまだ公表されていない。
キム・ヤンヒョク記者