▲2023年9月4日、韓国国会で開かれた「福島原発汚染水海洋投棄撤回国際共同会議」で、共に民主党関係者らが放流反対のピケットデモをしている様子。/ニュース1

 東京電力が福島の原発汚染処理水を放流し始めてから、8月で1年になる。1年間で計5万4600トンの処理水を太平洋へ放流したが、放射能の基準値に迫ったことはただの一度もない。今年6月に7回目の放流を行った際、トリチウムの濃度は世界保健機関(WHO)の基準値の2.6%だった。自然状態のトリチウムの濃度と同じ水準だ。国際原子力機関(IAEA)は「環境に影響を与えない」とコメントした。

 韓国の進歩(革新)系最大野党「共に民主党」は、福島の放流前から「韓国の水産物が放射能に汚染される。核テロであって、第2の太平洋戦争」だとしてデマをばらまいた。かつて狂牛病(牛海綿状脳症・BSE)デマやTHAAD(高高度防衛ミサイル)電磁波デマの流布で先頭に立っていた左派団体や各番組も加勢した。これらの勢力は「セシウムのクロソイ、お前らが食え」「いっそのこと×を食べる」と言い立てて不安をあおった。一時は水産物の消費が急減し、「天日塩買いだめ」まで起きた。その被害をかぶったのは韓国の漁民や水産物流通関係者だった。

 2011年に福島の原発事故が起きてから12年たったが、韓国の海には何の影響もない。事故当時は、今よりもはるかに高い濃度の汚染水が処理もされずにそのまま海に流された。それでも韓国の海に影響はないのに、汚染水を処理してはるかに少ない量を放流することで、どうして韓国の海に影響が及ぶのか。放流水が太平洋を回って4-5年後に韓国の海までやって来るころには、トリチウムの増加量はX線を1回照射するときの1000万分の1に過ぎない。韓国よりも先に影響を受ける米国・カナダ・メキシコはこれを問題にしなかった。食品安全について最も厳格な欧州は福島の水産物の輸入を再開した。ほとんど全ての原子力専門家も、デマに科学的根拠はないと言った。

 だが、原子力について何ら知識がない李在明(イ・ジェミョン)元代表は、専門家らを「もぐり」呼ばわりした。デマばらまきの先頭に立った左派の人々は民主党の比例衛星政党に参加した。全教組(全国教職員労働組合)の幹部は教師たちの個人情報を抜き取って「放流反対」督励の電子メールを送り、MBC放送は魚が大量死しているフェイク映像を放送した。

 彼らがこうした虚偽のデマにすがりつくのは、狂牛病デマのように韓国政府に「親日」フレームをかぶせて窮地に追い込み、総選挙に利用するためだった。しかし韓国社会は狂牛病デマのときとは違っていた。思いもよらない形で被害に遭った水産業者たちは「水産物を汚染している張本人は政治家とメディア」と批判した。まさにその言葉の通りだ。デマが通用しないとなるや、民主党指導部は突然、木浦の刺し身店で会食して「本当においしかった」と言った。前日まで、「水産物を食べたら大変なことが起こる」かのように言っていた人々だった。

 民主党は今も、汚染水デマについて一言も謝罪や反省をしていない。むしろ「放流ほう助」だと言って尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領弾劾事由に挙げてすらいる。過去の狂牛病デマやTHAAD電磁波デマのときも同様だった。政治的利益を狙う「知らんけど」式のデマ扇動だ。

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