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 パリ五輪の卓球女子団体の16強戦(1回戦)で韓国の申裕斌(シン・ユビン)と対戦した隻腕のブラジル代表選手、ブルーナ・アレシャンドレ(29)は、試合には敗れたものの観客から大きな拍手と歓声を浴びた。

 韓国女子代表は5日(現地時間)、フランスのパリ南アリーナで行われた卓球女子団体の16強戦でブラジルと対戦し、3-1で勝利した。ブラジル代表の中には注目の選手がいた。初めて五輪の舞台に立ったブルーナ・アレシャンドレだ。アレシャンドレは第1試合のダブルスで田志希(チョン・ジヒ)・申裕斌組と対戦、第4試合のシングルスでは李恩恵(イ・ウネ)と対戦し、いずれも敗れた。右腕のないアレシャンドレは左手に持ったラケットでボールを高く上げ、サーブを打った。動きがややぎこちなくなる場面もあったが、一般の選手と変わりなくボールを打ち合い、勝負に挑んだ。

 アレシャンドレは試合後「韓国の実力がずば抜けていた。最高のチームの一つ」と話した。さらに「腕が1本しかなくても、足が1本しかなくても、私たちは何だってできると信じなければならない。私は7歳で卓球を始めたが、その時は本当に大変だった。特に、片方の腕でサーブを打つのがとても難しかった。それでも絶対に諦めなかった」と話した。アレシャンドレは「私は今29歳。これまでいくつもの大会で優勝したし、卓球を初めて22年目で今日五輪の舞台に立った。皆さんも自分の夢を絶対に諦めないでほしい」と呼び掛けた。

 会場ではブラジルの観客はもちろんのこと、開催国フランスの観客もアレシャンドレに拍手と声援を送った。試合には敗れたが、アレシャンドレは誰よりも明るい笑顔を見せた。アレシャンドレは「本当に素敵だったし幸せだった。フランスのファンたちがブラジルをこんなにも応援してくれるとは予想もしていなかった。五輪の予選を突破するのは本当に困難なことだったので一層うれしいし、今日は私にとってとりわけ特別な忘れられない日になると思う」と話した。

 アレシャンドレは生後まもなく血栓症を患い右腕の切断手術を受けた。7歳で卓球を初め、スケートボードやフットサルもしながらバランス感覚を養った。2014年に北京で行われた世界パラ卓球選手権ではシングルスと団体戦で銅メダルを、17年にスロバキア・ブラチスラバで行われた同選手権では団体戦で金メダルを獲得した。

 パラリンピックにも2回出場し、メダルを獲得している。16年に自国のリオデジャネイロで開催されたパラリンピックでは女子シングルスと団体戦で銅メダルを、20年東京パラリンピック(21年開催)ではシングルスで銀メダルを獲得した。

 今回、パリ五輪の出場権を獲得したアレシャンドレは、ブルーナ・タカハシ、ジウリア・タカハシ姉妹と共に堂々と団体戦に出場した。ブラジルのスポーツ史上、オリンピックとパラリンピックの両方に出場した選手はアレシャンドレが初めて。世界ではポーランドの「隻腕の卓球レジェンド」ナタリア・パルティカに続いて2人目だ。アレシャンドレはかつてパルティカについて「彼女がキャリアの中で成し遂げた全てのことに刺激を受け、彼女を超えるためにたくさんの努力を重ねてきた」「彼女はオリンピックとパラリンピックに同時に出場して歴史を塗り替え、私に大きな刺激を与えてくれた」と話していた。

 アレシャンドレにとって次の目標は、五輪後に行われるパラリンピックで卓球の金メダリストになることだ。アレシャンドレは「パラリンピックで勝つことに明らかに役立つため、五輪にも出続けたい。パラリンピックで金メダルを獲るという夢を抱いているし、28年のロサンゼルス五輪にも行きたい」と意欲を見せた。

イ・ヘジン記者

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