▲イラスト=パク・サンフン

 7月23日午後8時、ソウル市瑞草区の潜水橋。約3メートルの狭い歩道を「ランニングクルー(走友会)」の会員約10人が所狭しと走っていた。散歩する市民を見掛けても、スピードを落としたり、隊列を変えたりはしなかった。歩行者は彼らを避けて車道に出たり、すれ違いざまに肩がぶつかったりもした。ソウル市竜山区の住民カンさん(28)は「走る人たちとぶつかるのを恐れて、ガードレールのない車道に出たのは一度や二度ではない」という。

 ソウルの都心を群れをなして走るランニングクルーはここ1、2年で2030世代(20代と30代)を中心に圧倒的な人気を集めている。ソウル市が主催した「7979(午後7時から9時まで友人と走る)ソウル・ラーニングクルー」の参加者数は昨年5月に329人だったものの、今年5月には898人へと増えた。だが、最初は「ホットなMZ(1980-2010年生まれ)文化」と思われていたランニングクルーが、最近では通行を妨害したり騒音を誘発したりする「迷惑族」と化している、と指摘する声が上がっている。ソウル市城北区の関係者は「2022年まで0件だったランニングクルー関連の苦情が最近殺到している」と悩みを明かす。

 ランニングクルーは、ランニングを共にするだけではなく、道路の真ん中や横断歩道、交通島などで「記念写真」を撮っている。これに対し市民たちは「道路を町内のジムと勘違いしないでほしい」と不満を爆発させる。上半身裸で走ったり、歩道や横断歩道を占有したりするケースもある。「なぜ数十人ずつ群れをなして都心を走らなければならないか」と指摘する声も聞かれる。

 漢江をはじめ、清渓川や中浪川、安養川、良才川、炭川など支流の河川を一人で走るランナーの目にも、ランニングクルーは芳しくないようだ。一人で走るランナーを見掛けたランニングクルーは、数十人が「前方ランナー!」と叫んだりする。ソウル市中区の清渓川を主に走っているイさん(32)は「その叫び声がまるで道を空けろと言わんばかりの脅威として感じられることもある」とし「耳が痛くなるほど大音量で音楽を流すのも問題」と指摘する。ランニング6年目のユン・スンヒさん(36)は「一部のランニングクルーは、自分たちの走路を確保するために1人でマラソンする人たちを押しのけたり、写真撮影者を伴って走ることもある」という。

 今年5月、ソウル市松坡区でランニングクルーと高齢者が衝突する事故も発生した。これを受け、地方自治体は取り締まりに乗り出した。松坡区は最近、石村湖の遊歩道に「3人以上のランニングは自制」と書かれた横断幕を設置し、「ランニングは1列で行うこと」という案内放送を開始した。ソウル市城北区も「右側走行、1列で」と書かれた横断幕を掲げた。京畿道華城市は、東灘湖公園の遊歩道にランニングクルーの出入りを自制するよう勧告した。華城市の関係者は「散歩する市民からの苦情があまりにも多いため下した措置」と理由を語った。

 新村一帯で活動するランニングクルー「ランナース」のコ・ドンヒョン会長(25)は本紙の電話取材に対し「隊列を5、6人の小グループに分けたり、速度や隊列を管理する責任者を選出したりするなど努力している」と話す。啓明大学交通工学科のド・ウソク教授は「ランニングクルーのためのランニング専用道路を別に設けたり、苦情が頻発している地域は特定の時間帯に集団ランニングを規制したりする案も検討する必要性がある」と指摘する。ソウル市が昨年から進めている「7979ソウル・ランニングクルー」も、やはり市民への被害が発生しないよう別途の進行要員を配置する。通行量が多い狭い道路や横断歩道を通る際は、速度を落として歩くようにする。

 一部のランニングクルーが各種マラソン大会に「カッコウ参加」をするのも問題とする声もある。カッコウが他の鳥の巣に卵を産んで子を育てるようにする托卵(たくらん)行為になぞらえたこの造語は、参加費を支払わずに大会の主要路に無断で進入して共に走る行為をいう。マラソン大会の参加者が支払う数万ウォン(数千円)の参加費は、道路交通の統制など大会運営に使われる。ところが、一部のランニングクルーがあたかも無断飲食するかのように「カッコウ参加」するのは厳然たる業務妨害であるが、依然として収まる気配が見られない。

 今年4月の大邱マラソン大会の定員は2万5000人。ところが参加者は3万人ほどだった。無断参加者5000人のうち、相当数がランニングクルーの会員だったというのが主催者側の説明だ。大邱マラソン協会のアン・ヒョジン事務総長(47)は「若いランニングクルーが増え、カッコウ参加という問題が浮上している」とし「ランニングクルーの間でカッコウ参加が一種の文化のように広がっているのではないか」と懸念する声が聞かれた。

ソ・ボボム記者

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