コラム
ベトナムは韓国と仲良しだよね?【コラム】(下)
■結局、韓国はベトナムと親密なのか
再び最初の質問に立ち返ります。結局、韓国の企業とブランドはベトナムで他国より優位にあるのでしょうか。韓国はベトナムの親友なのでしょうか?
韓国はベトナムに投資した146カ国の中で最多(累計870億ドル)の投資を行った「最大投資国」の地位を維持しています。しかし、これはあくまでもこれまでの「累計」の話です。ベトナム計画投資省によれば、2021、22年まではベトナムで海外直接投資(FDI)2位の座を維持していた韓国は、去年5位までランクを下げました。
最近投資を増やしているのはシンガポールや日本などです。今年上半期、ベトナムに最も投資した国はシンガポール(55億8000万ドル)で、最大の投資国となりました。ベトナムへの投資額全体の36.7%を占めました。日本は2位に入りました。 日本はベトナムに対する政府開発援助(ODA)の最大供与国です。ベトナムに道路や鉄道のようなインフラを構築し、二国間協力を強化しています。ODAの規模全体の30%以上を占めています。日本に対するベトナムの好感度もそれだけ高いものがあります。ホーチミンの場合、コリアンタウンは郊外にありますが、日本人通りは都心にありますね。早くからODAでベトナムに派遣された日本人が都心に集まって暮らしたおかげです。今年上半期のFDIはシンガポール、日本に香港、韓国、中国が続きました。
ベトナムに手を差し伸べる国が多くなり、ベトナムにとっても選択肢が増えています。竹外交という言葉が示すように、国益のためであれば、他国からのラブコールを断るはずはないですよね。しかし、中国との貿易が低迷し、韓国にとってベトナムの重要性は増しています。ベトナムは中国、アメリカに次ぐ3位の貿易相手国です。日本を抜いてから既に久しいです。韓国の昨年の対中輸出額は1248億ドルで、前年を19.9%下回りました。対中貿易収支は181億ドルの赤字で、1992年の韓中国交正常化以降で最大の赤字幅を記録しました。韓国が特にベトナムを「ポストチャイナ」として強調する理由はそこにあります。
今回のチン首相の訪韓で、韓国政府とベトナム政府は両国の貿易規模を来年までに1000億ドル、2030年までに1500億ドルのレベルにまで拡大するという目標を掲げました。ベトナムとの協力をさらに強化する姿勢を示した格好です。単にベトナムに対する投資を増やすのではなく、エネルギーや鉱物などベトナムの資源を活用し、韓国企業の対中依存度を下げ、グローバル競争力を強化する狙いです。
韓国に進出したベトナム企業と韓国企業による協力を強化するための組織も作られました。5月30日、駐韓ベトナム経営協会(BAViK)が発足したのです。韓国で活動するベトナム企業の公式コミュニティーであり、二国間の投資、貿易を支援することが目的です。現在韓国にあるベトナム企業40社が加盟したそうです。
こうして見ると、ベトナムは韓国で最近最も人気の友人であるようです。皆がこぞって仲良くしようと手を差し伸べています。韓国が現時点でベトナムと一番親しい友人であることは確かです。しかし、他国はベトナムが勉強したいと言えば、本も机も貸し与えています。韓国はベトナムとずっと仲が良いままでいられるでしょうか。友人関係でも良好な関係を維持するための戦略が必要に思われます。民間だけでなく、国家的な戦略も欠かせないでしょう。
李美智(イ・ミジ)記者