「ピヤギ(韓国語でひよこの意)」ことパリ五輪卓球女子韓国代表の申裕斌(シン・ユビン、20)は今年3月のシンガポールスマッシュで東京五輪2冠の世界ランキング4位、陳夢(30)=中国=と対戦して1-4で負けている。今回のパリ五輪卓球女子シングルス準決勝は5カ月ぶりの対戦だったが、申裕斌の力不足を実感させた。第1ゲーム序盤は試合が拮抗(きっこう)してリードを奪ったが、4-4と並んでからは3連続失点して流れを奪われ、7-11で第1ゲームを奪われた。第2ゲームに入ってからもしばらくは3-0でリードしていたが、4-1から連続で4点を許し、逆転された。結局、6-11で第2ゲームも陳夢がさらった。申裕斌は第3ゲームも7-11で取られた。このままやられてばかりはいられないと覚悟を決めた第4ゲーム。申裕斌は序盤、対等な試合運びをした。長いラリーの末、申裕斌が5-5と同点にすると、会場のファンたちは熱狂した。申裕斌は7-7まで勝負を持ち込んだが、あと一つ力が及ばず7-11に終わった。ゲームスコアは0-4。ラリーはよく続いたが、最後は陳夢の勢いにいつも押されてしまった。申裕斌も素直に負けを認めた。試合後、「相手の実力の方が上だった。途中で(実力が)同じくらいになった場面もあったが、相手の方が強かった。結局は私がどうやるかで試合を変えることができたのに、今日はミスが多かった」と語った。また、「中国に負けて悔しいと思うか」という質問には、「そのような気持ちを持つ前に、まだ試合が残っている。気持ちを落ち着けて、3位決定戦に備えたい」と言った。

 申裕斌は2004年の柳承敏(ユ・スンミン)=男子シングルス金メダル=、金暻娥(キム・ギョンア)=女子シングルス銅メダル=以来、20年ぶりにシングルスの五輪メダルに挑む。3位決定戦は3日夜8時30分(韓国時間)に行われる。対戦相手は日本の早田ひな(24)=世界ランキング5位=。日本が誇る「黄金世代」の主軸で、申裕斌は早田にこれまで4戦全敗を喫している。申裕斌が混合ダブルスに続き、女子シングルスでも銅メダルを取れば、韓国卓球史上、1回の五輪大会でメダルを2個取った4人目の選手となる。1988年ソウル五輪の劉南奎(ユ・ナムギュ)=男子シングルス金・ダブルス銅=、1992年バルセロナ五輪の玄静和(ヒョン・ジョンファ)=女子シングルス銅・ダブルス銅=、金択洙(キム・テクス)=男子シングルス銅・ダブルス銅=以来のことだ。

 申裕斌は決勝進出こそならなかったものの、今大会ではパワーとスピードが著しく向上し、安定したサーブやレシーブを見せるなど、あらゆる面で進化していることを証明した。昨年の杭州アジア大会で田志希(チョン・ジヒ)と共に女子ダブルスで優勝し、21年ぶりに韓国代表選手団にアジア大会での金メダルをもたらした申裕斌。今大会の混合ダブルス銅メダルでは12年ぶりに卓球韓国代表に五輪メダルをもたらし、新たな風を吹き込んでいる。シングルスの試合が終わると、男女団体戦が5日から10日まで行われる。

パリ=チャン・ミンソク記者

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