南北関係
北朝鮮で深刻な洪水被害、韓国政府が「人道支援の用意」を表明
韓国政府は1日、甚大な豪雨被害が発生した北朝鮮北部地域の被災者のために人道支援を行う用意があることを明らかにした。
大韓赤十字社の朴鍾述(パク・チョンスル)事務総長は同日「先日新義州など平安北道や慈江道など北朝鮮地域での集中豪雨で北朝鮮住民に甚大な被害が発生したようだ」「韓国側は北朝鮮住民の人道的に困難な状況を考慮し、人道主義と同胞愛の見地から北朝鮮被災者のため緊急に必要な物資を迅速に支援する用意があることを明確にする」と伝えた。その上で朴事務総長は「支援品目、規模、支援方式などについて北朝鮮赤十字会中央委員会と協議を行う準備もできており、早期の対応を期待する」と述べた。
現在南北の連絡ルートが全て途絶えているため、韓国政府による今回の支援方針表明は北朝鮮に電子通信文を送付する形ではなく、メディアを通じて公表する形で行われた。北朝鮮が韓国側の提案を受け入れる可能性は高くないが、受け入れた場合は南北赤十字社による実務協議を経て支援品目など具体的な内容が話し合われそうだ。
北朝鮮メディアは先日、集中豪雨の影響として中朝国境の鴨緑江下流に位置する新義州市と義州郡で4100世帯以上の住宅と3000町歩(約3000ヘクタール)の農耕地、さらに多くの公共機関や施設、道路、鉄道が浸水するなど甚大な被害が発生したと伝えた。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は7月29日と30日に被災地で緊急の政治局非常拡大会議を開催し、平安北道、慈江道での水害の責任を追及し3人の幹部を交代させた。北朝鮮メディアは金正恩総書記が幹部らと共に救命ボートに乗り、完全に水に沈んだ村などを視察したと報じた。
韓国政府は文在寅(ムン・ジェイン)政権当時の2020年8月、北朝鮮に水害による被害の支援を提案した。これに対して金正恩総書記は水害で被害が発生した事実は認めたが、「外部からの支援は一切受けない」として提案を拒否した。当時金正恩総書記はコロナ感染拡大への懸念を理由に「国境を鉄筒のようにさらに厳しく閉じ、防疫事業を厳格に進めよ」と指示した。北朝鮮は尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権発足後の22年、コロナ防疫に向けた韓国側からの協力提案も拒否した。
キム・ミンソ記者