▲朝鮮デザインラボ=イ・ヨンジュ

 米軍が、最新鋭ステルス戦闘機F35の在日米軍配備計画を連発しました。7月初めに、青森の三沢空軍基地、山口の岩国海兵隊航空基地などにF35AとF35Bを配備するという米国防総省の発表がありました。7月中旬には、米海軍が岩国の第5空母航空団(CVW5)にF35C飛行隊を配備することとしました。

 この配備計画が完了すれば、在日米軍に固定配備されるF35戦闘機の数は80機ほどになるものとみられます。その代わり、1980年代から在日米軍で活躍して来たF15とF16、FA18ホーネットなど旧型戦闘機96機は一線から退きます。

 米国が西太平洋一帯の空軍力をF35中心に再編するのは、中国の空軍力増強に対応するためだと言えます。中国はステルス戦闘機「殲20(J20)」を年間100機のペースで生産し、空軍に配備しているところです。中国では、米国が、同盟国である韓国と日本、オーストラリアなどが保有するF35をひとまとめにして中国に対する「ステルス機C型包囲網」を構築しようとしているのではないか…という懸念の声が出ています。

■韓半島に投入される空母ジョージ・ワシントンにもF35搭載

 米軍の「スターズ・アンド・ストライプス」紙は7月15日、米海軍が岩国のCVW5にF35Cを装備する第147戦闘攻撃飛行隊(VFA147)を新たに配備すると報じました。VFA147は2017年からCVW5で活動して来たVFA115のFA18ホーネット戦闘機と交代することになる、と同紙は伝えました。

 有事の際に韓半島に投入される空母ロナルド・レーガンが今年5月、母港の横須賀を離れて帰国の途に就きました。代わりに空母ジョージ・ワシントンが、今年下半期に在日米軍に投入される予定です。新たに配備されるF35C飛行隊は、まさにこのジョージ・ワシントンで運用されます。ジョージ・ワシントンはF35Cの発着艦が可能なように施設や装備をアップグレードしたといいます。F35Cを搭載する空母は、このほかにもカール・ビンソンとエイブラハム・リンカーンがあります。

 これに先立ち、米国防総省は7月3日、在日米軍配備の戦闘機を大幅に交代させる計画を発表しました。沖縄の嘉手納基地にいる48機のF15C/DをF15EX「イーグルII」戦闘機36機に替え、青森の三沢基地に配備されている36機のF16を48機のF35A戦闘機で代替することとしました。また、岩国海兵隊航空基地に配備するF35Bの数も調整されるといいます。古いF15・F16戦闘機を大幅にF35ステルス戦闘機に交代させる計画でした。

■中国はJ20を年間100機のペースで増強

 嘉手納基地に新たに配備するF15EXは、ステルス戦闘機ではありませんが、従来のF15とは完全に異なると評価されている最新鋭の機種です。先端レーダーや赤外線探知装置などを積み、搭載兵器の量は13.4トンで、並みの爆撃機よりも多いといいます。F35がまず出動して敵国のレーダー基地などを破壊し、標的の情報を送ったら、F15EXが遠距離からミサイルでたたく-という形で、対になって運用され得るでしょう。嘉手納基地には、このほかにも米本土やハワイから来るF22とF35戦闘機がローテーション配備されています。

 米国が在日米軍にF35を大量投入するのは、中国の空軍力増加に対応するためだといいます。中国はJ20ステルス戦闘機を開発し、既に300機近く配備したといいます。毎年100機ずつ増やして、2030年代には1000機まで確保するという計画です。最近では台湾の対岸に位置する福建省・武夷山空軍基地の主力機を大挙J20に入れ替えるということもやりました。加えて、空母艦載用の殲35(J35)も開発し、試作機を運用中です。

 J20はステルス性能、機動力などの側面で米国のF22やF35には及ばない、というのが専門家らの一般的な評価です。反面、一定水準のステルス性能を備えていて、高性能レーダーや赤外線探知装置、衛星通信装置などを搭載し、米国の制空権にかなりの脅威になるだろうという分析もあります。

■台湾侵攻に備えた主力機入れ替え

 太平洋空軍(PACAF)の司令官を務めたケネス・ウィルズバック航空戦闘軍団(ACC)司令官は2022年、あるシンポジウムで「東シナ海で、われわれのF35戦闘機が近くからJ20を見守る機会が多かったが、懸念すべきレベルではなかった」としつつ「J20に対する中国の指揮・統制は相対的に印象的だった」と語りました。

 在日米軍からF35配備を本格化するのは、中国の台湾侵攻や南シナ海紛争に備えるためという側面も大きいといえます。F35は優れたステルス機能を基に、有事の際は中国のレーダー網を突破して侵入し、中国軍の指揮部や空軍基地、ロケット軍基地などに致命的な打撃を与えることができます。ネットワーク機能に優れ、F15EX・無人機などと連携して中国内部の目標を合同攻撃することも可能だといいます。台湾侵攻を夢見る中国軍としては、乗り越え難い障壁だと言えます。

 米国ハドソン研究所の村野将研究員は、日経新聞のインタビューで「F35は第5世代戦闘機で、優れたネットワーキング能力とステルス性能を持っている」とし「FA18のような第4世代戦闘機は、いくら性能を改善しても追い付けない機種」と語りました。さらに村野研究員は「F35が中国の新型戦闘機に対抗し、空対空対決に投入されることもあり得る。中国から発射される対艦弾道ミサイルや巡航ミサイルを迎撃する上でも活用される可能性がある」としました。

崔有植(チェ・ユシク)記者

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