▲イラスト=UTOIMAGE

 「2024年新卒生が仕事を探しています。背中を見て」

 中国湖北省の名門大学、武漢大の地理学部を卒業したSさん(21)は今月初め、そんな文句が書かれた白いTシャツを着て河南省の街を歩き回り、有名人になった。彼のTシャツの背中には名前、年齢、受賞歴、趣味、性格まで詳細に書かれた履歴書が丸ごとプリントされていたほか、簡単に連絡できるようにQRコードも添えてあった。Sさんは大学院への入学を控え、短期のインターン先が見つからなかったため、「Tシャツ就職活動」に始めたと明かしたが、インターネット上で有名になると実際にスポーツ衣料会社でSさんに仕事をオファーしたという。

 就職活動中の中国の青年たちによる「奇行」が増えている。就職が難しいため、わらにもすがる気持ちであらゆる手段を総動員しているのだ。中国の公式統計では16~24歳の青年失業率は6月時点で13.2%だが、在学生を集計対象から除外する以前の昨年6月には21.3%に達していた。「不動産開発業者への融資規制」「ビッグテック叩き」「学習塾禁止政策」などで中国政府のメスが入った不動産・IT・教育業界で雇用が大きく減り、景気後退が長期化し、雇用市場が冷え込んだ。

 中国青年たちはギグワーカー(インターネット上のプラットフォームサービスを介して単発の仕事を請け負う労働者)として働きながら、安定した働き先を探すケースが多い。配達サービスや「中国版ウーバー」のドライバーとして働きながらチャンスを待っているのだ。最近、中国のソーシャルメディアでは最近、配車サービスの滴滴出行(DIDI)を利用したところ、車のシートの裏に美大生の履歴書が貼られていたことが話題になった。また滴滴出行の別のドライバーは車内に「製薬会社を解雇され求職中。ヘッドハンターが連絡が来たら、電話に出ざるを得ないのでご了承ください」という張り紙をした。

 自らハードルを下げる若者も増えている。中国の就職プラットフォームによる調査によると、今年第1四半期にブルーカラー(生産職労働者)の募集に応募した25歳未満の青年が2019年の同じ時期に比べ2.65倍に増えたことが分かった。6月に発表した最新の調査では、飲食配達業、トラック運転手、ウェイターなどに対する就職需要が急激に増えたという。

 就職難が深刻化する中、就活生たちの羨望の的である大企業では社員の退社が続く逆説的な状況が起きている。中国の大企業が人員を削減する一方、社員への圧力を強め、ストレスに耐えられない社員が増えたのだ。CNNによると、大企業に勤めていた女性(27)は時給制の家事ヘルパーに転向。中国最大の電子商取引(EC)企業で年収70万元(約1480万円)をもらっていた30代女性はペット美容師に転職した。

李伐飡(イ・ボルチャン)記者

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