北朝鮮総合
SUVに乗って水害被災地を視察した金正恩総書記「一人も残さず何が何でも救助せよ」
北朝鮮の鴨緑江沿岸が記録的な豪雨に見舞われて大規模な水害が発生した。そうした中、朝鮮中央通信は金正恩(キム・ジョンウン)総書記が水害現場を指揮し、被害を防止できなかった幹部たちを叱責する姿を29日に報道した。
報道によると、27日の豪雨で鴨緑江の水位が高まり、平安北道新義州市と義州郡の住民約5000人が孤立する危機に直面するや、金正恩氏は朝鮮人民軍に救助を指示した上で、28日に被災地を訪れたとのことだ。
朝鮮中央通信が公開した写真を見ると、被災地とみられるある村では家の屋根まで水位が上がっている。同通信では、金正恩氏が大型SUVに乗って被災地を視察する写真も掲載した。金正恩氏が乗った車は車輪がすべて水につかっている。
金正恩氏はまた、軍の指揮官から住民の様子や救助状況の報告を受けた後、住民を救助したヘリコプターがヘリポートに戻る様子を見守った。同通信は、金正恩氏が「一人も残さず何が何でも救助せよ」と指示したことや、「住民が避難した地域に取り残されている人はいないか、再度捜索せよ」と数回にわたり指示したことを報じた。
金正恩氏は国家機関と地方幹部を叱責(しっせき)した。「豪雨・洪水・台風被害の予防対策を立てよ」として今月22日に国家非常危機対策委員会を招集するなど、何度も指示したのに防止に失敗したということだ。
そして、「人民の生命安全を担保し、徹底的に保障すべき社会安全機関の無責任さ、非戦闘的な姿勢をこれ以上、看過できない。主要職制たちの怠け者根性と要領主義は実に深刻な状況に至った」と述べた。
さらに、「自然災害が依然として根絶できていないのは『自然のせいだから仕方ない』と考え、敗北主義にとらわれて災害防止事業に確信を持って取り組まず、空ばかりを見て『まぐれ当たり』を望んでいるからだ」と指摘した。
金正恩氏は今回訪れた平安北道をはじめ、慈江道、両江道の鴨緑江付近を「特級災害非常地域」と宣言し、内閣・委員会・省・中央機関・安全および武力機関に被害防止と復旧事業総動員令を下した。
北朝鮮では梅雨前線の影響により平安北道と慈江道が豪雨に見舞われ、25日午前0時から28日午前5時までで江原道元山市に617ミリメートル、平安北道天摩郡に598ミリメートルの雨が降ったとのデータがある。
キム・ミョンジン記者