▲7日、北京の繁華街「三里屯」にある韓国のアイウェアブランド「ジェントルモンスター」太古里ストア(左)。22年にオープンしたこの店は3階建て、1340平方メートル規模だ。同日、中国で大ブームになっている「ジャンマンルピー」のキャラクター商品が北京の鳳凰匯ショッピングセンターに並んでいる。/北京=李伐飡特派員

 韓国ではさほど知られていない事実だが、最近中国で韓国のアパレルブランドが「新たな高級ブランド」の仲間入りを果たしている。北京市内では韓国のストリート・カジュアル・ブランド「MLB」のロゴが入ったTシャツ姿の若者たちを至る所で見掛けるし、韓国アパレルメーカーLFの「HAZZYS」はPOLO、ラコステなどと並んで「中国の中年ファッション4大ブランド」となっている。韓国企業が買収して運営している「FILA」は、ナイキに次ぐスポーツブランドと認識され、大型ネット通販セール「618」などショッピングイベントではトップクラスの売り上げを記録している。それぞれ中国に進出した時期は異なるが、共通点はここ3-4年の間に急激に人気が高まったということだ。これらのブランドの中国国内店舗は合わせて3500カ所に上り、韓国国内のマクドナルドの店舗数(403カ所)の9倍に達する。

 中国で低迷していた韓国ブランド・製品の人気が再び上昇しているケースが目につくようになってきた。主にファッション、キャラクター、ゲームなど、トレンドに関連する産業だ。北京の投資会社の関係者は「韓国の持つ西欧の感性と中国企業の資本・現地化戦略が融合すると大ヒットにつながる」と話す。注目すべき点は、韓国企業各社が以前とは異なりマーケティングで「韓国」という国籍を前面に出さず、中国企業と手を組んでセンスやノウハウの伝授に集中していることだ。HAZZYSは中国企業に対して現地化に関する権限を譲渡し、その後店舗数が大幅に拡大した。また、FILAは最初から中国事業の代理権を現地企業に与えて売り上げの約3%だけを手にしているという。ほろ苦い気もするが、大国である中国で韓国が稼ぐための新たな公式は、「国籍を隠すこと」というわけだ。

 なぜ、中国で「韓国」という国籍を明かすことができないのか。韓国は中国にとってもはや「かっこいい国」ではない上、韓中関係の悪化に比例して拒否感も大きくなったからだ。最近、120万人のフォロワーを抱える中国の有名な自動車評価インフルエンサー「トゥンインブロ」に話を聞いたところ、現代自・起亜が中国で低迷する理由について「車には問題がないが、『韓国』という国家ブランドが足を引っ張っている」と言っていた。その上で「私に来るコメントを見ても、韓国に対する拒否感のせいで韓国車にマイナスの評価を下すケースが多い」と話した。世界の中価格・低価格市場で両国がライバル関係にある点も韓国をけん制する理由になった。

 それにもかかわらず中国市場で韓国の製品が善戦している理由は、地理的に有利だからだ。中国は米国など西側諸国との対決構図が表面化し、西側の製品を堂々と輸入・販売することがはばかられるため、同じアジア文化圏で地理的にも近い韓国がその代わりになったわけだ。韓国企業が「西欧の感性の懸け橋」となっているようなものだ。大韓貿易投資振興公社(KOTRA)の北京貿易館の関係者は「中国の企業関係者らは、韓国人の美的センスとトレンド把握力を、簡単には得られない資産だと考えている」と分析した。

 道のりは険しいだろうが、韓国は今後、この懸け橋としての地位をテコとして積極的に活用すべきだと考える。例え戦略的に「韓国」を隠したとしても、中国のパートナー企業や販売店からの取り分をもう少し増やせるよう、賢明で瞬発力のある交渉戦略を展開した方がよい。韓国には高級な戦略を展開できる高レベルの製品とブランドが多数あるのだ。

北京=李伐飡(イ・ボルチャン)特派員

ホーム TOP