社説
尹錫悦大統領と与党・韓東勲代表の衝突、国政と国民のためにここで終わりにすべき【7月24日付社説】
韓東勲(ハン・ドンフン)候補が23日、韓国の保守系与党「国民の力」の新たな党代表に選出された。62.8%という圧倒的な得票だった。総選挙の3カ月前に党非常対策委員長として迎え入れられ、選挙を率い、敗北の責任を取って退いてから103日ぶりとなる。与党の刷新と変化、与党・政府間の新たな関係に対する党員と民心の期待を受けて党代表の座に上ったのだ。
だが、韓代表の前には多くの難題が横たわっている。最も重要かつ至急の課題は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領との信頼を回復し、関係を立て直すことだ。今回の全党大会が極端な対立と内紛へと至った根本原因は、この代表戦の根底に尹大統領と韓候補の対決が横たわっていたからだ。金建希(キム・ゴンヒ)大統領夫人とやりとりしたメッセージの暴露、公訴取り消し要請の暴露などが相次いだ。総選挙で惨敗し、108議席の少数党へとしぼんでしまった政権党が、刷新して統合するのではなく、まるでもうじき別れる人間同士のように争った。
双方がこのように衝突するのは、結局のところ金建希夫人問題が原因だ。一方はかばおうとするばかりで、他方は協議もなしに異なる意見を掲げてぶつかるばかり。韓代表は当選後、「私の政治的目標は尹政権を成功させること」と語った。尹大統領も「われわれは運命共同体」と発言した。今こそ、互いに虚心坦懐に頭を寄せ合うべきときだ。これ以上の対立は大統領と韓代表にとって何の役にも立たない。随時、意思疎通と協力をすべきだ。それでこそ韓国国民は安心し、国政も成功し得る。
韓代表は、分裂した国民の力の内部も収拾しなければならない。全党大会の過程では暴力的な事態まで起きた。互いに暴露し、攻撃するという、自党を害する行為ばかりを繰り返した最悪の全党大会だと評された。全党大会の投票率まで下落した。この対立を解消できなければ、国民の力が前に進むのは難しい。
韓代表は何より、しっかり聞いて抱擁する姿勢が必要だ。どんなことであろうと負けずにやり返す姿勢は、党代表としてはふさわしくない。そんなことでは与党側全体の調停人になることも困難だ。親尹(尹大統領に近い)系も、韓代表に引き続き傷を負わせ、落馬させようとする考えは持つべきではない。最終的には親尹系が害を被ることになりかねない。
韓代表は、民主党が押し付けている海兵隊チェ上等兵殉職事件の特別検察官と金大統領夫人の特別検察案、大統領弾劾、各種立法暴走など、政治上の懸案にも対応しなければならない。この渦中で大統領との意見の違いが露呈し、対立が再燃することもあり得る。地雷原を歩いているも同然だ。野党と対話しつつ年金・労働・教育・医療・規制改革など国政課題を推進せねばならない宿題も抱えている。容易なものは一つもない。これまで、与党代表がこんな立場に置かれたことはなかった。このもつれた糸をほぐす第一歩もまた、尹大統領との信頼回復だ。