▲写真=UTOIMAGE

 韓国高速高速道路の交通事故現場から事故車をけん引するため出動したレッカー車が、最初に事故を起こし現場に座り込んでいたドライバーをはねて死亡させていた。このレッカードライバーの男は自分が起こした事故を隠蔽(いんぺい)するため、事故車のドライブレコーダーからSDカードを抜き出し、現場から逃走していたことも分かった。

 京畿道広州警察署は16日、特定犯罪加重処罰法上の逃走致死などの容疑で30代のレッカードライバーの男の身柄を拘束し送検したと発表した。

 男は今年4月28日深夜、広州市内の第2中部高速道路河南方面に向かう上り線のパーキングエリア付近で30代の男性をレッカー車ではね、死亡させた疑いがある。男は当時、交通事故が発生したとの通報を受け現場に出動したレッカードライバーの一人だった。

 警察によると、死亡した男性は同日深夜2時50分ごろにアウディを運転中、路上に停車していた双竜アクティオンに追突した。アクティオンはハザードランプを点灯していなかった。アクティオンに乗っていた20代のドライバーは自ら119番に通報した。

 最初に現場に到着した韓国道路公社と消防署の関係者によると、事故を起こしたアウディの男性は意識はあったが、体調不良を訴えながら自分の車の横に座り込み、後に突然心肺停止の状態になった。同じく心肺停止状態だったアクティオンのドライバーも病院に搬送されたが二人はいずれも死亡した。

 警察は現場にいた関係者などから、アウディの男性が死亡した経緯が疑わしいとの証言を確保し捜査を開始した。その後、現場にいた救急車のドライブレコーダーを確認したところ、容疑者の男が運転するレッカー車が二つの走行車線にまたがって停止していたアウディと中央分離帯との狭い空間に入ろうとした際、男性とぶつかって倒す様子を確認した。

 男性にぶつかった直後、容疑者の男は男性への救急対応などはせず、アウディからドライブレコーダー用のSDカードを取り出して現場から立ち去った。男は現場で対応に当たっていた関係者に「レッカー車の車輪が故障したのでけん引できない」などとごまかしていたという。当時事故現場にはレッカー車が5台待機し、自分たちが先にけん引しようと駆け引きしていたという。容疑者の男は高速道路を逆走して2番目に現場に駆け付けていた。その時点で最初に現場に到着していた別のレッカー車はアクティオンをけん引する作業を行っていたようだ。

 警察は当時現場にいた別のレッカードライバーなどの話から男の身元を特定し、今年5月に自宅とオフィスを家宅捜索した。また男のノートパソコンから事故当時のドライブレコーダー映像がいったん再生されてから削除されていた記録を確認し、男を追及したところ隠し持っていたSDカード(レッカー車とアウディのドライブレコーダー映像)を差し出した。しかし男が持ち去ったSDカードにはアウディの男性がはねられる様子は映っていなかった。

 国立科学捜査研究院がアウディに乗っていた男性の遺体を解剖し死因を調べたところ、最初に頭部などを負傷していたが、その後レッカー車にはねられたことが死因と推定されるという。研究院はアウディのエアバッグの状態などから、最初の追突事故は死因ではないと判断したようだ。警察の関係者は「事故現場では当時、事故を起こした車を先にけん引しようと、レッカー車が競争していた。そのような状況の中で容疑者の男はアウディの男性を確認できず、2回目の事故を起こしたようだ」と説明した。

 容疑者の男は警察での取り調べで「アウディの男性はすでに死んでいたと思ったが、自分が男性をはねて死亡させた加害者だと疑われそうだったので、ドライブレコーダーのSDカードを取り出してその場を立ち去った」と供述し、容疑を認めているという。警察は今年5月末に男を送検し、その後男は起訴され水原地裁城南支院で一審の裁判が今も行われている。

水原=権祥銀(クォン・サンウン)記者

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