▲京畿道盆唐市のネイバー本社/news1

 日本政府は韓国ネイバーに対するLINEヤフー株の売却要求を事実上撤回した。約52万件の個人情報流出事故を起こしたLINEヤフーに対して日本政府は今年3月と4月の2回にわたり行政指導を行い「ネイバーとの出資比率見直し」を要求、ネイバーに経営権の放棄を強要した。すると韓国国内で反日感情が高まったため、韓日関係改善を最大の業績と考える日本の岸田政権首相が今回無理な要求の取り下げを決めたようだ。

 日本の総務省幹部は12日、本紙の電話取材に「LINEヤフーが1日に提出した対策に関する報告書はいわゆる『絵に描いた餅』ではなく、しっかりした計画であり高く評価している」とした上で「LINEヤフーは以前問題となったセキュリティ・ガバナンスについても社内ガバナンス委員会の設置や社外取締役の強化などの対策を提示したため(総務省の要求を)満たした」と説明した。

 総務省は前回の行政指導でセキュリティ・ガバナンス強化を口実にネイバーとの出資比率見直しを要求した。「LINEヤフーは親会社であるネイバーをしっかりと管理・監督できないため個人情報流出が起こった」としてこの問題をまず解消すべきという論理だった。しかしこの総務省幹部は「(ネイバーとの)出資比率見直しは総務省とは関係ない」「今後LINEヤフーからの報告書が実行されているか確認する際、(ネイバー問題は確認リストに)含まれていない」と述べた。今回の対策で十分なので、ネイバーとの出資比率見直しは要求しないという意味だ。

 総務省は今回の対応をLINEヤフーはもちろん、日本のソフトバンクにもすでに伝えたようだ。ソフトバンクとネイバーはLINEヤフーの筆頭株主であるAホールディングス株を50%ずる所有する共同経営権者だ。

 今年5月初めの時点で日本政府、右翼団体、ソフトバンク・LINEヤフーの経営陣はネイバーに対して出資比率見直しを強く要求していた。日本の総務省は3月にLINEヤフーに対し、ネイバーとの出資比率見直しを要求する1回目の行政指導を行い、今後1年間、3カ月に1回定期的に報告書を提出するよう要求した。LINEヤフーが4月に対策に関する報告書を提出した際、松本剛明総務相は「行政指導への対応が不十分」と批判し、あらためて行政指導を行った。総務省のある幹部は日本メディアの取材に「委託先が親会社というゆがんだ持ち株関係では、巧妙なサイバー攻撃に対処できない」と指摘した。

 総務省の圧力が強かった時期に日本の政権与党・自民党の甘利明・経済安全保障推進本部長(元幹事長)はソフトバンクグループの孫正義会長に対し「日本のインフラはアプリの開発から全て日本国内でできるようにしてほしい」と要請し、これに孫会長がその場で「私が責任を持ってやります」と答えたと日本メディアが報じていた。

 日本政府が一歩引いたきっかけは今年5月以降、韓国国内で反日感情が高まったことにあるとみられる。韓国大統領室は5月「韓国企業は海外でいかなる差別的措置も不当な待遇も受けるべきではない」と発表した。「新しい資本主義」を掲げ海外企業の投資誘致に力を入れてきた岸田政権としては「日本が韓国ネイバーに対して法的根拠もなく株式売却を強要した」という事実そのものが認められないことだった。

 また5月末の韓日首脳会談で尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は岸田首相に対し「日本の総務省による行政指導はネイバーに対する持ち株売却要求ではないと理解している」と述べ、これに対して岸田首相は「どこまでもセキュリティ・ガバナンスの再検討要求だ」と答えた。LINEヤフー問題が外交問題に発展すれば、岸田政権は自らの最大の業績の一つと考える韓日関係改善が水の泡になりかねないと考えたようだ。

 日本のある弁護士事務所の関係者は「ソフトバンクの孫正義会長と日本の自民党右派の政治家たちはLINEヤフーの経営権は日本が所有すべきとの認識を共有している」「総務省が手を引いた以上、別の方法を考え出してくるだろう」とコメントした。

東京=成好哲(ソン・ホチョル)特派員

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