▲コンビニで仕事中の店員/news1

 韓国の来年度の最低賃金が1万30ウォン(約1149円)になることが12日に決まった。これは今年の9860ウォン(約1130円)よりも170ウォン(約19円)高く、1988年に最低賃金の制度が導入されて以来、37年間ではじめて1万ウォン(約1150円)を突破し、また最低賃金が5000ウォン(約573円)となった2014年から11年で2倍になった。

 最低賃金委員会は同日未明、第11回全体会議で労働団体が求める時給1万120ウォン(約1159円)=9票=と経営者団体が求める時給1万30ウォン(14票)について投票を行い、上記の決定を下した。委員は全体で27人だが、うち全国民主労働組合総連盟(民主労総)が推薦した労働者の委員4人は採決を棄権した。

 時給1万30ウォンは週40時間勤務での月給に換算すると209万6270ウォン(約24万243円)となり、今年よりも3万5530ウォン(約4071円)高くなる。来年度の上昇率1.7%は2021年の1.5%に続いて過去2番目に低い。最低賃金は文在寅(ムン・ジェイン)前政権発足直後の2018年に16.4%、2019年に10.9%と2年連続で10%以上も上昇するなど、ここ5年で41.5%も高くなった。しかし尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権発足後の2023年は5%、今年は2.5%の上昇にとどまっている。

 今回の決定後、民主労総は「最低賃金の上昇率は3年連続で物価上昇率に満たず、実質賃金はさらに減少した」と指摘し、韓国労働組合総連盟(韓国労総)も「低賃金労働者の叫びが鮮やかに目に浮かぶ」と反発した。これに対して小商工人連合会は「小商工人の経済的、心理的マジノ線(最終防衛ライン)である最低賃金1万ウォンの壁が崩壊した」「もはや耐えられないレベルの人件費上昇は最終的に事業主に1人だけの経営を強要する形となり、雇用の減少につながるのは避けられない」と批判した。中小企業中央会も「営業利益で利子さえ返済できない中小企業が今や過半数を占めており、今後破産や廃業が予想される今の経済状況を考えると、中小企業経営者が強く求めてきた最低賃金の凍結が実現しなかったことは非常に残念だ」とコメントした。

キム・ユンジュ記者、チョ・ジェヒ記者

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