▲ソウル市内のある大学病院の廊下に置かれたベッド。医学部定員増を巡る医療界と政府の対立で全国の病院は今も経営難に苦しんでいる。8日撮影。/聯合ニュース

 韓国の大型病院が首都圏に病床数合計6600以上となる分院建設計画を進めているが、韓国政府はうち4800以上(73%)の病床については建設を認めないとする文書を地方自治体を通じて発送したことが10日までに分かった。首都圏に大型病院が過剰に建設された場合、ただでさえ不足状態が続く地方病院の医師や患者が首都圏にさらに集中する恐れがあるからだ。韓国政府が「全国病床大手術作業」を始めたと言えるだろう。政府が首都圏の大型病院分院建設にブレーキを掛けるのは今回が初めてだ。

 10日までの本紙の取材を総合すると、韓国保健福祉部(省に相当)は8日、全国70カ所の地域のうち63カ所(90%)に「病床過剰状態」「これ以上病床を増やすな」と指示する文書を発送した。保健福祉部は全国を70の地域に分け、5年ごとに病院の病床数が適切かどうかを分析し適正規模を維持させている。「病床過剰」と判断された地域は病床数を少しずつ減らさねばならない。病院建設許可は地方自治体の首長の権限だが、保健福祉部がその地域の病床規模を「過剰」と判断した場合、自治体は病院建設を許可できない。

 中でも問題となっているのは首都圏だ。保健福祉部は大型病院が分院建設を計画している首都圏のほとんどの地域を「病床過剰」と判断した。現在大型病院の分院が建設予定の地域は首都圏ではソウル市松坡区(嘉泉大学吉病院)、仁川市西区青蘿洞(ソウル峨山病院)、京畿道始興市(ソウル大学病院)、京畿道金浦市(仁荷大学病院)、京畿道坡州市・平沢市(亜州大医療院)、京畿道果川市・南楊州市(高麗大医療院)、仁川市松島(延世医療院)、京畿道河南市(慶煕医療院)の10カ所(6600病床以上)だ。保健福祉部はうち松島、果川、河南の3カ所を除く7カ所(4800病床)を「病床過剰」と判断した。韓国の全病床数は2021年の時点で人口1000人当たり12.8で、これは経済協力開発機構(OECD)加盟国で最も多い。

 韓国政府関係者は「首都圏への病院集中が今以上に深刻な状態になれば、地方の病院は空室があふれ崩壊するだろう」「今回から本格的に病床数を管理する」とコメントした。

 韓国政府は今回の措置と同時に医療法の改正を進め、大規模病院を建設する際には保健福祉部長官の承認を必要とする形へと制度を見直す方針だ。

オ・ユジン記者

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