▲同徳女子大グローバル地域学部のソ・ボンギョ教授/チョン・ギビョン記者

■韓国が中国系ECと競争するには

-中国系ECは韓国EC市場を掌握するのか。

 「中国のECプラットフォームに対する信頼がカギだ。1万ウォン以下の中・低価格商品は買っても、100万ウォン、200万ウォンの商品を中国系ECで買えるのかという問題だ。また、韓国はオーダーメード広告に対する規制が厳しい。中国系ECは海外でオーダーメード広告で成長したてきたが、韓国では消費者のデータを使い、オーダーメード広告を行うことはできない。そうした競争力は韓国では通用しないということだ。そのため、韓国市場を中国のECプラットフォームが掌握するのは難しそうだ。 ただ、韓国地場プラットフォームの収益基盤が脆弱で崩壊すれば、東南アジアのように中国資本に取って代わられる可能性があることの方が大きな問題だ。すでにカカオ、トスなどに中国資本が入っている」

-中国系ECは米国を制圧できるか。

 「米中は消費者に自国のプラットフォームだけを使わせるわけにはいかない。障壁を構築してECを強制的に阻止ことも不可能だ。消費者はそんなことを容認しないだろう。中国系ECは米国が世界標準を掌握する前に、当面は損をしても海外進出に力を入れて、市場を十分に確保しようとしている。中国系ECは東南アジアと南米を中心に世界のEC市場を米国と二分することを目標にしているようだ。今後技術標準の導入を巡り、米中の戦いは続くだろう。話は少しずれるが、中国がQRコード決済を推進。米国がアップルペイが使える近距離無線通信(NFC)を推進していることに似ている」

-韓国はどんな対策を立てればよいか。

 「ボーダーレスで繰り広げられる国際Eコマースで中国だけをターゲットに規制することは不可能だ。米中間のECプラットフォーム戦争で韓国が立場を維持するためには、国内企業のイノベーションを阻む行き過ぎたオーダーメード広告規制などを緩和し、技術競争力を育成する方向に進むべきだ」

■世界の決済市場を侵食する人民元

 ソ・ボンギョ教授は「中国が人民元の国際化のために構築した独自の人民元決済システムは、従来のドル決済より安い為替手数料を競争力としてサービスを提供しているが、これは中国系ECの価格競争力を高める要因の一つになっている」と話した。

-中国系ECの世界的成長は元の国際化と関係があるのか。

 「人民元の国際化が進み、中国系ECは安価で国際決済を行うことが可能になった。中国人民銀行は2015年、人民元建ての国際決済システムである『CIPS』を構築したが、このシステムは既存のドル中心の国際決済システムに比べ為替手数料面で競争力がある。銀行や大企業は従来のように『SWIFT (スイフト)』を利用したドル決済を好むが、小額のECでは手数料などを節約するため、中国が構築したか、中国企業が中心となっている国際決済ネットワークを好む。人民元の国際化が中国系ECの国際化をけん引しているのだ」

-中国は国際決済業者も買収した。

 「代表的なのは、2019年にアリババが英系決済業者ワールドファーストを買収したことだ。英国の欧州連合(EU)離脱で英フィンテック企業が経営が難しくなると、電撃的に買収した。ワールドファーストを利用すれば銀行口座がなくても電話番号さえあれば安価で国際送金が可能だ。手数料は銀行に比べ最大50%以上安い。中国の人民元決済システムに抵抗感がある消費者もワールドファーストという名前でアプローチすると喜んで利用する」

-国際決済業者の利用はどれほど増えているのか。

 「韓国はクレジットカードが優先だが、世界のトレンドは違う。韓国のカカオペイのようなモバイルウォレットで国際決済を行う割合が50%を超える。モバイルウォレット市場では米ペイパルが最大手だが、中国のアリペイ、ワールドファーストなどもシェアを拡大している」

方顕哲(パン・ヒョンチョル)記者

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