社説
謝罪しなかった金建希夫人も、返信しなかった韓東勲候補も理解できない【7月10日付社説】 TV朝鮮がトーク履歴5件原文公開
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の配偶者・金建希(キム・ゴンヒ)夫人が今年1月、韓東勲(ハン・ドンフン)国民の力非常対策委員長=当時=に対し、有名ブランドバッグ問題の謝罪に関して送った携帯電話メッセージ5件の全文がこのほど公開された。金建希夫人は1月15日から25日までに送ったこれらのメッセージで、「私が100倍おわび申し上げます」「非常対策委員会の観点から謝罪をするのが正しいとの決定を下してくだされば、そのご意向に従います」「全て私の過ちに起因していることなので、何も申し上げられる言葉がありません」などと、謝罪の意思を数回にわたり韓東勲氏に示していた。
このため、親尹派(尹大統領に近い人々)は「『金建希夫人に謝罪する意思がないため、メッセージに返信しなかった』という韓東勲氏側の主張が偽りであることが明らかになった。金建希夫人の謝罪の意思を無視した韓東勲氏の政務的判断ミスを謝罪せよ」と言った。一方、韓東勲氏は9日のテレビ討論で、「金建希夫人に謝罪の意思がないことをさまざまなルートで確認した」「謝罪の主体は大統領室だ」という趣旨の話をした。また一部には、「謝罪の意思があったなら、韓東勲氏の反応とは関係なく、金建希夫人が謝罪すればよかったのに、しなかった」という声もあった。
金建希夫人と韓東勲氏による携帯電話メッセージのやり取りが6カ月後の国民の力全党大会期間中に公開されたのは、大統領室と金建希夫人、そして親尹派による韓東勲氏への攻勢である可能性が高い。しかし、このような政治問題とは別に、金建希夫人と韓東勲氏が当時取った行動に理解し難い点があるのは一つや二つではない。まず、メッセージのやり取りがあった今年1月当時、同党非常対策委員長として4月の総選挙に向けて党を率いていた韓東勲氏は、金建希夫人が何度も謝罪の意思を明らかにしている以上、直ちに受け入れて大統領室と協議すればいいことだった。韓東勲氏は「メッセージに返信すれば国政介入になる可能性がある」と言ったが、金建希夫人の謝罪の意思を受け入れることが国政介入と何の関係があるのか。大統領室が実際に謝罪を拒否したのなら、金建希夫人の謝罪の意思だけでも公表することができたはずだ。総選挙直前なのだから、非常対策委員長はあらゆる可能性を探り、最善を尽くすべきだった。
だがその一方で、「韓東勲氏が金建希夫人のメッセージを無視したから、夫人は謝罪できなかった」というのも話にならない。本当に金建希夫人に謝罪する意思があったなら、韓東勲氏の反応とは関係なく、当時でも今でもすぐに謝罪すればいいことだ。今からでも謝罪すれば、金建希夫人に対する広範囲かつ低い好感度は少しでも変わるだろう。だが、それでも「謝罪する」という話は全く聞こえてこない。政府・与党全体が金建希夫人問題で足を引っ張られているのに、当の2人は理解し難い争いばかりを続けている。