社説
理由もないのに「大統領弾劾」聴聞会、弾劾をおもちゃのように振り回す共に民主党【7月10日付社説】
韓国の進歩(革新)系最大野党「共に民主党」が掌握した国会法制司法委員会(法司委)が、「尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領弾劾聴聞会」を19日と26日の2度にわたって開くこととした。証人としては金建希(キム・ゴンヒ)大統領夫人と義母の崔銀順(チェ・ウンスン)氏、李鍾燮(イ・ジョンソプ)元国防相、イム・ソングン元海兵第1師団長など39人を採択した。民主党は、尹大統領弾劾を要求する国会国民同意請願が130万人を突破したことを名分として聴聞会を押し付けた。国民同意請願を根拠に弾劾聴聞会が開かれるのは初めてだ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領のときも146万人が弾劾請願を行ったが、弾劾聴聞会は開かれなかった。常識外れだからだ。民主党は、こうした常識外れのことを当たり前のようにやっている。
弾劾は、公職者が憲法や法律に違反した程度が甚だしく、公職遂行し得ないときに下す極端な措置だ。その対象が大統領であればなおさら、極めて慎重にアプローチしなければならない。ところが尹大統領に対する弾劾の請願は、請願処理の対象にし難い捜査中・裁判中の事案や一方的な疑惑を弾劾の理由に挙げている。「対北拡声器放送で戦争の危機を助長」「強制徴用親日解決強行」「フクシマ汚染水放流ほう助」なども弾劾事由だとした。こうした低レベルな扇動が弾劾事由になり得ないということを、民主党はよく分かっているだろう。
韓国は、政治の二極化と国民の分裂が極めて甚だしい国だ。どの大統領が政権を取ろうとも、弾劾請願があったら難なく100万人以上の同意を集めることができる。そのたびに弾劾をやりだしたら、国はどうなるだろうか。昨日、保守系与党「国民の力」の議員らが法司委で「文在寅・前大統領も任期当時、146万人の弾劾請願があったが、そのときは聴聞会をなぜやらなかったのか」と尋ねると、民主党所属の鄭清来(チョン・チョンレ)法司委員長は「当時の国会法司委が職務遺棄をした」と述べた。大統領弾劾という厳重な問題を巡って、法司委員長は無責任な言葉遊びをしている。
民主党は少し前に、李在明(イ・ジェミョン)前代表の捜査検事3人など検事4人に対する弾劾訴追案を自党の公式な意見として発議した。これをはじめ、民主党が現政権発足後に発議した弾劾案だけでも11件に達する。弾劾訴追前に辞任した放送通信委員長2人まで合わせると13件だ。就任もしていない放送通信委員長指名者に対する弾劾も予告した。いずれ、弾劾をおもちゃのように振り回した代償を支払うことになるだろう。