政治総合
尹大統領が15回目の拒否権行使…共に民主「成立するまでやる」 海兵隊員殉職事件特別検察官法案
訪米中の韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が9日、進歩(革新)系最大野党「共に民主党」など野党側が国会で通過させた海兵隊員殉職事件特別検察官法に対する再議要求権(拒否権)を行使した。尹大統領の就任後、15回目の再議要求権行使だ。22代国会が始まってからは初となる。
尹大統領の再議要求権行使に先立ち、韓悳洙(ハン・ドクス)首相は国務会議(閣議に相当)で「野党は、むしろ違憲性をさらに加重した法案をまたも単独で強行処理した」とし、再議要求権行使建議案を議決した。野党が単独処理した海兵隊員殉職事件特別検察官法案では任命権を事実上野党が行使することになっており、現在は高位公職者犯罪捜査処などで関連の事件を捜査中であるだけに、特別検察官を導入すべき必要性も認められないという。大統領室も、海兵隊捜査団が警察に事件を移管する過程で大統領室などの捜査外圧があったという疑惑は事実と異なる、とする立場を明らかにした。
民主党は「政権没落の始発点になるだろう」と反発した。ただし民主党は、尹大統領の拒否権行使が予想されていただけに、再可決に力を注ぐ雰囲気だ。再議決で特別検察官法案が可決されるには、在籍議員300人全員が出席した場合、3分の2(200人)以上の賛成が必要だ。現時点で、保守系与党「国民の力」(108人)から離脱票が8票以上出るとは考え難い-という見方が多い。このため民主党の一部からは、国民の力の党代表選挙(7月23日)以降に再票決を遅らせる主張も出ている。国民の力の韓東勲(ハン・ドンフン)党代表候補が、大法院長(最高裁長官に相当)など第三者が特別検察官を推薦する法案を主張しているだけに、国民の力の党代表選出結果を見て再議決の時期を決めよう、というのだ。民主党は、今回の再議決で否決されても、会期ごとに海兵隊員特別検察官法案を再発議する計画だ。尹大統領の拒否権行使を引き続き誘導し、負担をかける狙いがあるものとみられる。
キム・テジュン記者