社説
誤字・事実誤認・うわさに満ちた弾劾訴追案を乱発する共に民主党【7月5日付社説】
韓国野党・共に民主党が李在明(イ・ジェミョン)代表を捜査した検事らに対する弾劾を強行したが、これに世論の反発を受けると同党は「今弾劾案を成立させたいのではなく、法制司法委員会で弾劾疑惑が真実か調査したいという意味だ」と弁明した。政府高官などの不法行為が具体的かつ深刻な状況にあるときに、最後の手段となるのが弾劾だ。ところが共に民主党は最初に弾劾し、その後それが事実かどうかを調べると言っているのだ。
共に民主党の弾劾案は「○○らしい」というレベルの疑惑ばかりが並べられている。下着メーカー大手サンバンウルによる北朝鮮への違法送金事件を捜査した検事について「以前行われた検察の会食で酒を飲み、不適切な行為に走った」と共に民主党は主張しているが、同席していた検事らはこれを否定している。またたとえこれが事実だったとしても、こんなことが弾劾の理由になるはずがない。李華泳(イ・ファヨン)元京畿道平和知事のいわゆる「酒席懐柔」問題についても、検察が拘置所への出廷記録などを公開して反論すると、日時や飲酒そのものまであいまいになってしまった。大庄洞事件を捜査した検事に対しては、韓明淑(ハン・ミョンスク)元首相事件当時の在所者を呼んで虚偽の供述を強要したとの理由で弾劾したが、これは文在寅(ムン・ジェイン)前政権当時すでに嫌疑なしとの結論が下された事案だ。共に民主党の現金封筒事件を捜査した検事については「崔順実(チェ・スンシル)国政壟断(ろうだん、利益を独占すること)事件の際、崔氏の親戚に偽証を強要した」と主張しているが、その親戚もきっぱりとこれを否定している。つまり弾劾事由のどれも事実と認められるものはないのだ。
しかも共に民主党の弾劾訴追案は誤りばかりだ。現金封筒事件を捜査した検事がメディアに被疑事実を公表したとする問題では、その日時から間違っていた。報じたメディアの名称や家宅捜索の日時も違っていた。昨年の李東官(イ・ドングァン)元放送通信委員長弾劾のときも「検察庁法により弾劾する」との記載があった。他人の弾劾案をコピーして使ったのだろう。共に民主党が弾劾をいかに軽く考え、乱発しているかがよく分かる事例だ。
共に民主党は弾劾案が提出された捜査担当検事を法制司法委員会に呼び、その場で調査を行うとしている。公開の席で恥をかかせ、自分たちが望む形で捜査を進めるよう圧力を加えたいのだ。このままでは裁判官まで弾劾をちらつかせながら呼び出して調査を行うようになるだろう。共に民主党はチェ上等兵特別検事法も大韓弁護士協会の推薦権を剥奪し、共に民主党と祖国革新党に特別検事の推薦権を持たせた。これでは特別検事ではなく「共に民主党検事」になる。話にならないごり押しと法律にかこつけた暴力が今横行しているのだ。