▲イラスト=UTOIMAGE

 「私が喫煙者だから言っているわけではない。このような状況が起きる最大の問題は、喫煙可能区域や吸い殻入れがきちんと整備されておらず、あちこちに『禁煙』というステッカーが貼られているだけだからだ」

 これは先週末、X(旧ツイッター)で話題になった投稿の一部だ。先月28日に投稿されたこの書き込みは、1日午前9時の時点で140万回読まれた。また、2万回近く引用・転載され、「喫煙権」「嫌煙権」を巡る論争に発展した。

 事の発端は先月27日、Xに投稿された写真だった。「禁煙区域です」と書かれているにもかかわらず、地面には多くの吸い殻が捨てられていた。たばこの空き箱も落ちていた。写真を見たネットユーザーらは「私が喫煙者を信じられない理由」として「ポイ捨てするのを制止する喫煙者を見たことがないし、落ちている吸い殻を拾う喫煙者も見たことがない。せいぜい『自分が捨てた吸い殻だけ片付ける』程度だ」と指摘した。

 この書き込みに、ネットユーザーのAさんは「このような状況が起きる最大の問題は、喫煙可能区域や吸い殻入れがきちんと整備されておらず、あちこちに『禁煙』というステッカーが貼られているだけだからだ」として「このような問題は、ある特性を持つ集団を非難して解決するものではなく、システム思考が必要だ。いっそたばこの販売をやめるとか」とつづった。さらに「法を守っている素晴らしい市民がたばこを吸い始めたとして、突然ポイ捨てをする人間に変わるだろうか」「喫煙というのが、人間の価値に基づく行動様式を変えるほどすごいものとは思えない。これこそが構造的問題」と主張した。

 Aさんの投稿を巡っては賛否両論が渦巻いた。投稿を擁護する人たちは「本当に共感する。ごみ箱など簡単な物を設置することだけで解決できる問題だ」「喫煙者だが、同意する。適切に喫煙区域とごみ箱を設置してほしい」などの反応を見せた。

 一方で、「『ごみ箱がないから地面に捨ててもいい』と言う人が出てきそうだ。私は道にごみが落ちていたら拾って家に持ち帰る。ごみが発生したら本人が責任を持って処理すべきであり、システム云々の話ではない」「禁煙区域だから吸い殻入れを設置していないんだよ」「喫煙ブースを作っても、他人のたばこのにおいが嫌だからと外で吸って、そのままポイ捨てしているくせに」などの反応も多かった。

 一部では、携帯用の灰皿が5000ウォン(約580円)台で買えるとして「常にこれを持っていればいいのに、持ち歩かずにポイ捨てする喫煙者たち。ごみ箱がないからと言って他人のせいにしている」と指摘する声もあった。

 この問題はさらに、大人が自分の意思でたばこを吸うのならそれを尊重すべきという「喫煙権」と、非喫煙者は健康に悪影響を与える受動喫煙を避ける権利があるという「嫌煙権」に関する討論へと発展した。両派の争いは以前からあった。20年前、韓国の憲法裁判所は「喫煙権」と「嫌煙権」は両方とも市民の基本的な権利だと認めながらも、嫌煙権が憲法の保障する健康権と生命権を下支えしていると判断した。喫煙権は、嫌煙権を侵害しない範囲で認められるべきという意味だ。

 最近では、大規模な公共施設の屋外スペースも禁煙区域に指定するよう定めた国民健康増進法の条項について、合憲だという判断も示された。Bさんは2019年1月、釜山のBEXCOの広場でベンチに座ってたばこを吸っていたところ、禁煙区域で喫煙したとして取り締まりに遭い、過料5万ウォンを科された。Bさんは「屋外のスペースまで禁煙区域に指定するのは行き過ぎだ」として憲法裁判所に請願を出して審判を求めたが、9人の裁判官全員がこれを受け入れなかった。

 憲法裁判所は「国民の健康を増進するという公益は、喫煙者らが制限される私益よりも大きい」として「屋外スペースであっても受動喫煙のリスクが完全になくなるとは見なせず、多数の人が行き交う可能性の高い公共の場所であれば、そのリスクはなおさら高い」と判断した。

イ・ガヨン記者

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