▲グラフィック=パク・サンフン

 文在寅(ムン・ジェイン)政権下で400兆ウォン(約47兆円)以上急増した韓国の政府債務は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権になって増加傾向が鈍化したが、楽観するのは早いと指摘されている。財政の健全性を重視する現政権が財政支出の伸びを大幅に抑えたにもかかわらず、景気低迷で税収不足に陥っているためだ。

 文在寅政権で年平均8.7%に達した財政支出の伸びは2023年には5.1%に落ち着き、今年は過去最低の2.8%まで低下した。しかし、企業業績の悪化で法人税収が急減し、昨年の税収不足額は過去最高の56兆4000億ウォンに達し、今年も少なくとも10兆ウォンの税収不足が見込まれている。不足分を埋めるために赤字国債の発行を増やせば、国内総生産(GDP)に占める政府債務の割合が50%に迫るとの懸念が浮上している。

 韓国企画財政部によると、韓国政府が試算した今年の政府債務(中央政府と地方自治体の合計)は前年比5.4%増の1195兆8000億ウォンだ。しかし、今年末の実際の政府債務は1200兆ウォンを超える可能性がある。今年の国税収入が予想を下回り、年初から5月末までの集計でも10兆ウォン近い欠損が発生したためだ。昨年赤字だったサムスン電子など大企業からの法人税収が急減した影響で、1~5月の国税収入は前年同期比9兆1000億ウォン減の151兆ウォンにとどまった。年間の税収目標(367兆3000億ウォン)の41.1%だ。過去5年間には5月までに平均で目標税収の47%が徴収されたが、それを大きく下回る数値だ。

 国税だけでなく、過料などの税外収入を含む政府の総収入と総支出を集計した4月末の数値を見ると、1~4月の統合財政収支は47兆1000億ウォンの赤字だ。政府は昨年末、今年の予算案を編成するに当たり、年間で44兆4000億ウォンの赤字を予想したが、4カ月の赤字幅がすでに年間目標を上回っている。

 政府の当初予想でいくと、政府債務比率は昨年の46.9%から今年は47.5%へと小幅ながら上昇することになる。しかし、税収不足を補うため、政府が国債発行を増やせば、同比率は上昇する。一部からは今年末の同比率が50%に迫るとの見方も出ている。

鄭錫愚(チョン・ソクウ)記者

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