▲イラスト=UTOIMAGE

 2020年代に入り、日本では起業生態系が脆弱だという危機意識が強まった。日本の有名ベンチャーキャピタルであるジャフコは「日本人の起業に対する認識は世界最下位水準であり、起業しようとしても周辺に経験した知人がいない」と指摘。日本の主要メディアは「失敗を敬遠する安定指向的な傾向が問題だ」と分析した。そして、アジアで起業生態系が比較的良好に構築された国として韓国を挙げた。2020年当時、日本の国内ベンチャー投資額は約4兆ウォンで、韓国の半分程度にとどまっていた。韓国では「起業分野では『克日』ではなく、『克中』に焦点を合わせるべきだ」と指摘された。

 その日本がわずか数年間で指標を急速に改善させた。昨年、世界的に投資が冷え込む中でも、日本は約6兆5000億ウォンの国内投資を記録した。世界的な起業生態系評価機関である「スタートアップゲノム」は最近のリポートを通じ、東京、横浜など日本の主要都市を言及し、「国際市場で競争力のある生態系になるだろう」と指摘した。いったい何があったのだろうか。

 日本政府は2022年を「スタートアップ創出元年」とし、巨額の支援を約束。スタートアップ育成5カ年計画を発表し、2027年までにスタートアップへの投資額を10兆円規模に拡大することを掲げた。そして中長期的に100社のユニコーン企業(企業価値10億ドル以上の非上場スタートアップ)を育成することを目標に挙げた。まず、学界が反応している。日本の経済産業省によると、日本の「大学発スタートアップ」数は昨年4288社となり、前年より506社増えた。大学発スタートアップは学生、教職員などが起業するか、大学の研究成果に基づき設立されたベンチャー企業を指す。起業の基礎となる大学で変化が始まったのだ。実際に日本全国各地の大学では起業サークルに加入する人が増え、大学間のコンペティションへの参加も増えているという。

 注目すべき点はそうした変化が東京、大阪など主要都市にとどまらないことだ。東京から約400キロ離れた富山県の大学発スタートアップは4年間で4倍も増加し、北海道でも活発な大学起業が行われている。全国的に底辺拡大が進んでいるのだ。

 日本政府は当面は実現が難しそうな目標を数年単位で設定し、各地域の大学は学生が保守的な考えから抜け出せるように起業情報をシェアする場を設けた。政府の計画に現場が反応する草の根拡張方式は日本が文化、スポーツなどさまざまな分野で駆使してきたものだ。韓国にも示唆するところが大きい。韓国のスタートアップ現場では「与野党を離れ、(政権ごとに)選出職の人事が入れ替わっても6~7年は続くスタートアップ育成政策が必要だ」という指摘が多い。政権が変わっても信じられる制度があってこそ、底辺拡大も可能となる。

キム・ミンギ記者

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