▲写真=NEWSIS

 ジャーナリストの金於俊(キム・オジュン)氏(56)は6月18日、ソウル北部地裁で開かれたイ・ドンジェ氏に対する名誉毀損を巡る裁判に被告人として出席した。金氏は2020年4月から10月にかけ、自身のユーチューブ配信を通じ、チャンネルA記者だったイ・ドンジェ氏がバイオテクノロジー企業シルラジェンのイ・チョル元代表に接近し、「(ジャーナリストの)柳時敏(ユ・シミン)氏に金銭を渡した」と証言するよう脅迫した疑いが持たれている。 同日の法廷には金氏の裁判を取材しようとする記者が約10人集まった。「虚偽事実の流布を認めるか」「イ・ドンジェ氏に言いたいことがあるか」といった質問が飛んだが、キム氏の返事はたった一言「言いたいことがある時に言う」というものだった。

 金氏は左手をポケットに入れて歩きながら取材陣の質問を受けた。裁判の態度も誠実とは言い難いものだった。ほぼ毎日行われるキム氏のユーチューブ放送は2時間半ほどだ。大笑いして反対勢力を皮肉ったり、卑俗な言葉を吐いたりするのは日常茶飯事だ。笑って騒ぐことを好んでいた金氏だが、法廷で放った言葉も一言だった。 裁判官が事件に対する立場を尋ねると、「そこ(弁護人の意見書)に全て書かれている」と答えた。金氏の弁護人は「(野党政治家の)崔康旭(チェ・ガンウク)氏のフェイスブック投稿が事実だと信じ、崔氏の地位を考えたとき、その可能性がかなりあった」と主張した。

 2020年4月3日、「開かれた民主党」の比例代表候補だった崔氏は、イ・ドンジェ氏がイ・チョル氏に「あなたが助かるには、柳時敏にカネを渡したと言え。我々の放送が使えば、国じゅうが大騒ぎになる。柳時敏の人生は終わる」と語ったと主張した。金氏が虚偽事実に言及したのは事実だが、当時国会議員候補だった崔氏の話を真実と信じるに足りる相当性があったという趣旨の弁論だった。金氏の弁護人は金氏の活動について「ジャーナリストとしての個人的批評」だと指摘した。事実確認を本業とするジャーナリストを自称するが、金氏が崔氏の発言の真実性を調べるためにどんな追加取材をしたのかについては言及しなかった。

 イ・ドンジェ氏は金氏のことを「虚偽事実を堂々と流布しておきながら、今になって崔氏のせいにするなんて、かなり臆病な人物のようだ」と評した。事実金氏の「虚偽情報流布騒動」は今回が初めてではない。2021年、呉世勲(オ・セフン)市長率いるソウル市の新型コロナウイルス感染症疫学調査タスクフォースが解体されたと発言したが、そんな組織はありもしなかったことが判明し、言論仲裁委員会の訂正報道決定が出た。「文在寅(ムン・ジェイン)政権は脱原発をやったことがない」「梨泰院の惨事(雑踏事故)が起きた路地は過去には一方通行の規制がされたが、今回はされなかった」といった発言も放送通信審議委員会で虚偽と判断され、制裁などを受けた。もちろん金氏が拡散してきた「違っていたらゴメン」式の陰謀論はほかにも多い。

 金氏は「ビビるな!」という言葉を口癖のように発する。彼のある著書には「正面突破マニュアル」というサブタイトルが付いている。虚偽事実流布疑惑も人のせいにせず、ビビらず信条通りに正面突破してもらいたい。

カン・ウソク記者

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