【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)の肖像が描かれたバッジ(肖像記章)が30日、公の場で初めて確認された。金正恩氏の偶像化が加速しているとみられる。

 朝鮮中央通信が公開した29日の党中央委員会総会の写真を見ると、出席した党幹部全員が金正恩氏をあしらったバッジをつけていた。写真は北朝鮮住民向けの朝鮮労働党機関紙、労働新聞にも掲載された。

 金正恩氏のバッジは父親の金正日(キム・ジョンイル)総書記の死去後の2012年に制作されたことが明らかになったが、着用している姿が確認されたのは初めてだ。

 金氏一家の偶像化の象徴である肖像記章は北朝鮮の住民から幹部まで着用している。金日成(キム・イルソン)主席のバッジは1970年から支給された。金正日氏のバッジは1992年に50歳の誕生日に合わせて制作されたが、最初は一部の幹部だけが着用し、2000年代に入って住民もつけた。金正日氏の死去後は金日成・金正日氏の肖像が入ったバッジが住民に大量に普及され、このバッジを着用していた。

 北朝鮮の最高位幹部である党中央委員会総会の出席者が金正恩氏のバッジを着用して参加したのは、金正恩体制の発足から10年が過ぎたことを受け、金正恩氏の偶像化に拍車をかける狙いがあるとみられる。北朝鮮メディアは5月、金正恩氏が党の幹部を養成する中央幹部学校の完成式に出席したことを報じ、校内に金正恩氏の肖像画が金日成・金正日氏のものと並んで掲げられている写真を公開した。

 韓国政府系シンクタンク、統一研究院の洪珉(ホン・ミン)先任研究委員は「金正恩氏に対する高い水準の偶像化作業に入ったとみられ、今後、憲法や党規約などさまざまな部門で偶像化が相当反映される可能性が大きくなった」との見方を示した。

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