▲自らの出版記念会で講演する金振杓(キム・ジンピョ)元国会議長

 金振杓(キム・ジンピョ)元国会議長(共に民主)が先日発刊した自らの回顧録で「尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は『梨泰院ハロウィーン惨事は特定勢力により捏造された可能性がある』と発言した」と主張し、韓国政界で波紋が広がっている。与党・国民の力は「歪曲(わいきょく)された発言」として金振杓氏に謝罪を要求した。これに対して野党・共に民主党は「事実であれば衝撃」「尹大統領自ら説明すべきだ」と求めている。

 金振杓氏は今月27日に自らの回顧録「大韓民国は何を蓄積してきたのか」を発刊した。金振杓氏は同書で2022年12月に尹大統領と会談した時の話として、同年10月末に起こったハロウィーン惨事への対応として行政安全部(省に相当)の李祥敏(イ・サンミン)長官の辞任を尹大統領に求めたことを明らかにした。これに対して尹大統領は「私は梨泰院惨事について今強い疑いを持っていて決められない。この事故が特定勢力により引き起こされた事件、捏造された事件だった可能性も排除できない」と答えたという。これが金振杓氏の主張だ。

 この内容が伝えられると、国民の力は金振杓氏に対し「歪曲された主張をしたことを謝罪せよ」「共に民主党は社会的な災難を常に政争の具にすることを繰り返してきた」と非難した。韓国大統領室も「大統領と話した内容を勝手に歪曲し、社会に伝えたことに慨嘆する」と指摘した。韓国大統領室のある幹部は「大統領は当時、惨事への対応と今後の予防に向け関係機関の会合が開かれるたびに、メディアが指摘した様々な疑惑を全て調査するよう指示した」と説明した。国民の力の朴俊泰(パク・ジュンテ)院内報道官は論評で「もしそんなことがあったなら、なぜその時に直言できなかったのか」「(文在寅〈ムン・ジェイン〉前大統領が書いた)タージマハル自叙伝に続くまた新たな自叙伝ショーであり、第2の清潭洞酒席疑惑だ」と批判した。

 これに対して共に民主党の院内代表を歴任した朴洪根(パク・ホングン)議員は同日「私も金振杓元議長から聞いており、メモにもそのまま残っている」と反論した。朴洪根議員は「尹大統領が『梨泰院には有名な飲食店も居酒屋もないのに、あんなに多くの人が集まったことは理解できない』『左派メディアが事故の2-3日前から人が集まるように誘導する番組を放映した理由も疑惑』などと金振杓元議長に語った」と主張した。共に民主党の朴賛大(パク・チャンデ)院内代表は「極右のユーチューバーが騒ぎ立てる『何でも陰謀論』を事実だと固く信じながら、大統領は国政を運営していた」と批判した。

キム・ジョンファン記者

ホーム TOP