▲24日午前、京畿道華城市にある一次電池メーカー「アリセル」の工場で火災が発生し、多数の死傷者が発生した。写真は工場内部を捜索する消防隊員。写真=キム・ジホ記者

 京畿道華城市内にあるリチウム一次電池工場で24日に火災が発生し、20人以上が死亡した。死亡者のうち相当数は外国人労働者だという。火災は一次電池の完成品を検収・包装する工場の2階で発生した。バッテリー1個で燃焼反応が起き、保管中だった3万5000個のバッテリーに火が移り、被害が大きくなったという。リチウムバッテリーは陽極・陰極・分離膜・電解液からなるが、分離膜が損傷すると「熱暴走」という現象により火災や爆発が起こる。火災現場でもこの日、相次いで爆発が起き、消火作業に困難を来した。

 バッテリー工場の火災はこれまでなかったわけではないが、このような大惨事につながったのはまれだ。バッテリー火災は大きな爆発につながる恐れがあるため、工場ではバッテリーを少しずつ分けて置き、生産直後すぐに出荷するなど、1カ所にまとめておかないことが重要だと専門家らは話す。工程ラインも区分し、緊急時は労働者たちが待避できるよう避難経路も複数用意する必要があるということだ。まだ確認できていないが、今回火災が発生した工場にはこうした綿密な対策が設けられていなかった可能性がある。

 バッテリー火災において韓国社会はまだ脆弱(ぜいじゃく)だ。充電が可能な二次電池が使用されているスマートフォン、ノートパソコン、電気自動車などのバッテリーも分離膜が損傷すると火災・爆発が起こる恐れがある。2年前の「(無料メッセージアプリ)カカオトーク大規模通信障害」を招いたSKC&Cデータセンター火災も、地下電気室に保管されていたバッテリー1個でスパークが起きて発生した。当時も自動消火設備では火を消すことができず、消防隊員らが消火するのに約8時間かかった。バッテリー1個に端を発する火災が、多くの人々の日常生活をしばらくの間マヒさせたのだ。

 今やバッテリーは使われない所がないほど利用が急増している。しかし、まだ電気自動車1台の火災を消すのにも数時間がかかっているのが現状だ。バッテリー施設の安全基準と消火能力を高める国レベルの対策が必要だろう。

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