▲中国の五星紅旗と半導体/聯合ニュース

 米国は2022年、中国に対する半導体の輸出規制を実施して以降、対中圧迫の度合いと範囲を拡大している。今年5月にはレガシー(旧型)半導体の関税を25%から50%に引き上げる計画を発表し、低電力技術であるGAA(Gate-All-Around)と高帯域幅メモリー(HBM)など最先端半導体技術に対する追加制裁も検討する方針だ。しかし、専門家の間では米国の制裁がむしろ中国の技術的自立を促す「制裁のパラドックス(逆説)」が広がっているという分析が聞かれる。

 半導体業界アナリスト出身の全炳瑞(チョン・ビョンソ)中国経済金融研究所長はこのほど、「昨年末から中国の半導体輸出額だけでなく、輸出量が増え始めた点に注目すべきだ」と述べた。米国は2022年末以後、半導体設備を修理するエンジニアを中国から全員撤収させた。このため、しばらくの間、中国の半導体生産工場は正常な稼働が難しかった。だが、最近の半導体生産増加は、中国国内の半導体工場が正常に稼働していることを示している。全所長は「中国は以前、米国のエンジニアの技術に依存していたが、今は自前で設備を整備する技術を備えたとみられる」と話した。

 米国の制裁にもかかわらず、最先端半導体が第三国を経由して中国に入っているという指摘も出ている。2022年8月、米国はエヌビディアのA100、H100など高性能人工知能(AI)半導体の輸出を禁止したが、中国は密輸市場などう回的な手段で最先端半導体を確保しているとされる。最近香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は「(中国が)A100、H100などエヌビディアのAI半導体を密搬入する市場が急速に拡散している」と報じた。対外経済政策研究院のオ·ジョンヒョク専門研究員は「中国企業は外部クラウドサーバー業者とのレンタル(賃貸)契約や子会社を通じた購入など先端AI半導体を確保できる非公式ルートを多数確保している」と分析した。 

 関税引き上げなど米国が最近打ち出している措置が実効性を欠くとの指摘も出ている。汎用半導体の関税引き上げ時期が米大統領選挙後の2025年である上、政府がいつでも覆せる行政命令にすぎないためだ。

ユン・ジンホ記者

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