▲グラフィック=ヤン・ジンギョン

 慶尚北道慶州市の月城原子力発電所4号機の使用済み核燃料保管施設から22日、2.3トンの貯蔵水が排水口を通じて海に流れ出す事故が発生した。月城4号機は現在稼働を停止し計画整備中だが、韓国国内で貯蔵水が海に流れ出す事故は今回が初めてだ。原発の安全性を管理監督する原子力安全委員会は「人体に害がないレベルには大きく及ばない」と説明しているが、一方で「再発防止策が必要」との指摘も相次いでいる。

 原子力安全委員会などによると、原発を管理運営する韓国水力原子力は22日午前4時34分ごろ、計画整備中の使用済み核燃料貯蔵プールで冷却系統の異常を感知し、午前7時40分に微量の貯蔵水が海に流れ出した事実を確認した。流出量は推定で2.3トンだった。原子力安全委員会は一連の事実について同日午前7時53分に報告を受け、韓国原子力安全技術院(KINS)の専門家を現地に派遣し、正確な流出量や流出原因などについて調査を行っているという。原子力安全委員会の関係者は「貯蔵水を冷却する熱交換器で流出が発生したと推定している」と説明した。

 流出した貯蔵水の放射線量は一般人の年間線量限度(人体に害のない放射線量の限界値)と比べてごく微量だという。韓国水力原子力は流出した貯蔵水の有効線量を「年間0.000000555mSv(ミリシーベルト)」と原子力安全委員会に報告した。一般人の線量限度は年間1ミリシーベルトだ。人体にがんなどを誘発する「セシウム137」も検出されなかった。原子力安全委員会が同日月城近くの港や海水浴場など4カ所で海水を採取し分析したところ、セシウム137の濃度は検出下限値(測定可能な最小値)の1リットル当たり2.88-3.29ベクレルだったという。

 貯蔵水(冷却水)とは使用済み核燃料から放出される熱を冷却し、放射線の流出を防ぐために使用される水だ。使用済み核燃料は核分裂は終えているが、莫大(ばくだい)な熱と放射線を出すため原発内の貯蔵プールで貯蔵水により冷却され、その後臨時あるいは永久保管施設に移される。貯蔵水は使用済み核燃料と直接接触するため、徹底した管理が必要になる。原子力安全委員会は「浦項や蔚山沖合での放射能測定では特異な事象がないことを確認した」「精密分析を行い、その結果が出れば直ちに公表する」と説明した。

 専門家は「貯蔵水の流出は異例」とした上で「再発防止策の取りまとめが必要」と指摘する。慶煕大学原子力工学科の鄭釩津(チョン・ボムジン)教授は「2.3トンは家庭用の浴槽2-3個分の量なので、懸念するレベルでは全くない」としながらも「問題が発生した熱交換器の整備間隔を短くするなどの対策が必要だろう」とコメントした。

パク・チミン記者

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