▲写真=UTOIMAGE

 中国・北京で大使館のナンバープレートを付けた車が道路をふさいで違法駐車し、交通渋滞を巻き起こした。この車を運転していたのは中国の元高官で国際機関トップだったが、外交官の免責特権を主張し、罵倒した。中国現地メディアが20日(現地時間)に報道した。

 報道によると、16日に北京市内の道路で、外交官のナンバープレートを付けたフォルクスワーゲンが道路の真ん中に違法駐車していたという。道路は往復2車線で、突然、数分間停車したこの車のせいで交通渋滞が発生したとのことだ。この車はアジア太平洋宇宙協力機構(APSCO)の余琦事務局長(58)が運転しており、夫と愛犬も乗っていたという。

 この車のせいで車両の通行が妨げられたため市民が抗議したが、余琦事務局長は気に止めずに車の中に座って移動を拒否した。そして、この様子を動画撮影していた市民に向かって「大使館車両は外交的免責権がある」という内容の主張をして罵倒したという。結局、市民が警察に通報し、警察が出動したとのことだ。

 この様子が撮影された動画は中国の交流サイト(SNS)でシェアされ、大衆の怒りを買った。動画を見たネットユーザーたちが追跡したところ、この車に乗っていた女性が余琦事務局長であることが分かり、APSCO本部に駐車されているのも確認した。

 これに対してネットユーザーたちは「彼女は免責特権について、自身が法の上にいて、望むことは何でもできる特権だと勘違いしているようだ」と怒りをあらわにした。元環球時報編集長の胡錫進氏は中国のSNS「微博(ウェイボー)」に「大使館の車も交通法規を守らなければならないことを理解していないようだ」「国旗を掲げた大使車両でも道路に駐車したり、公共の通路を占有したりすることはできない」と指摘した。

 警察は余琦事務局長が車の移動を拒否し、侮辱的な発言をしたことも確認しており、違反事項に対して罰金を課した。当局はまた、余琦事務局長が適切な登録をせずに犬を所有していたことについても、適切な手続きに基づいて措置を取った。

 騒動が広がると、余琦事務局長はネット上にアップロードした動画で、「すべての方々におわび申し上げる。私に対する指摘も関連当局の処分も受け入れる」「今回の件で大きな教訓を得た。その結果に対して責任を取る」と謝罪した。また、「私がしたことが、私の所属する組織(APSCO)に否定的な影響を及ぼしたことは分かっている。大きな罪悪感を抱いている」とも述べた。

 APSCOは2008年に中国が創設し、後援している国際機構で、余琦事務局長は2020年11月に就任した。任期は2025年10月までだ。

イ・ヘジン記者

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