【ソウル聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は19日、少子高齢化対策に取り組む「低出産高齢社会委員会」の会合に出席し、同日付で「人口国家非常事態」を正式に宣言すると表明した。尹大統領は人口減などで滅亡したとされる古代ギリシャのスパルタの歴史に触れ、「少子化問題を克服するまで国を挙げた総力対応体制を取る」と述べた。

 委員会の委員長を務める尹大統領は、大統領就任2年に合わせて先月行った記者会見で、急速に進む少子高齢化に対応するため新設すると表明した「低出生対応企画部」(仮称)の名称を「人口戦略企画部」とし、担当閣僚に社会副首相を兼任させ少子化や高齢化社会問題、移民政策などに関する中長期的な人口戦略を策定させると説明。同部に少子化関連予算の事前審議権や地方自治体事業に対する事前協議権を与え、「強力な司令塔の役割を担わせる」と強調した。

 また、「これまでの少子化政策を冷静に再分析し、海外の成功、失敗例まで徹底的に調べた」とし、少子化問題の解決に向けた重要課題として、仕事と家庭の両立、養育、住居を挙げた。

 仕事と家庭の両立については、「企業の規模、雇用形態と関係なく、誰もが仕事をしながら必要な時期に出産と育児を並行できるようにする」と述べた。現在6.8%にとどまっている男性の育児休職の取得率を任期内に50%にし、育児休職中の給与も最初の3カ月は月250万ウォン(約28万円)に引き上げる。また男性の出産休暇を10日から20日に拡大し、育児期の労働時間短縮が可能な子どもの年齢を8歳から12歳に引き上げるほか、短い単位で使用できる育児休職制度を導入する。事業主には育児休職を取得する従業員の代替要員を雇用する場合の支援金として月120万ウォンを支給する。

 養育政策では、0歳から11歳までは国が養育の責任を持つとして、3~5歳の子どもに対する無償教育や全国の小学校で放課後も午後8時まで教育活動や保育を提供する学童保育を利用できるようにすると表明した。

 住居問題では出産世帯に住宅を優先的に提供するほか、新婚夫婦には低金利で住宅資金を融資し、出産時には追加の優遇金利を適用する。

 尹大統領は「少子化問題は首都圏集中、激しい不安や競争など社会の構造的、文化的な要因が複合的に絡み合っており、この三つの分野だけに集中しても解決できない難題」として、「地域均衡発展政策や雇用、年金、教育、医療改革を含む構造改革も揺るぎなく推進していく」と述べた。

ホーム TOP