事件・事故
「共に民主・李在明代表、訪朝費用合意後に北朝鮮と接触を試みていた」【独自】
韓国下着大手サンバンウル・グループのキム・ソンテ元会長が自身の訪朝費用について、北朝鮮側と「300万ドル」(現在のレートで約4億7300万円)で合意した直後の2019年7月、韓国最大野党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表が北朝鮮側関係者に訪朝招待を要請しようと、「電話歓談計画」を立てていたことが分かった。これは、検察が起訴状に記載していたことが16日に確認されたものだ。12日に「サンバンウルによる北朝鮮への不正送金事件」で李在明代表を起訴した際、このような内容が含まれていたという。
本紙が取材した李在明代表の起訴事実などをまとめると、検察は50ページにわたる起訴状で、「李在明代表は訪朝同行を望んでいたキム・ソンテ元会長が北朝鮮の要求する訪朝儀典費用を代納することを知り、これを承認した」としている。李在明代表が北朝鮮の李種革(リ・ジョンヒョク)朝鮮アジア太平洋平和委員会副委員長と電話する計画を立てたのは、2019年7月24日から四日間にわたりフィリピンで開催された第2回アジア太平洋の平和・繁栄のための国際大会の時のことだ。
当時は北朝鮮の弾道ミサイル発射などで南北関係が行き詰まっていたにもかかわらず、北朝鮮はすでにサンバンウルからスマートファーム(農林複合型モデル農場)支援事業費500万ドルを受け取り、訪朝費用も受け取ることを約束し、国際大会に代表団を派遣したと検察はみている。李在明代表は李種革副委員長に電話をかけ、「前回(第1回国際大会)平壌が招待なさったことは忘れていない。次回は平壌で会うことを希望する」と言おうとしたが、通話がうまくいかなかったという。
しかし、フィリピンにいた李華泳(イ・ファヨン)京畿道平和副知事=当時=らは北朝鮮の朝鮮アジア太平洋平和委員会ソン・ミョンチョル副室長から、「李在明知事が来れば(北朝鮮の実力者・金英哲(キム・ヨンチョル)氏と崔竜海〈チェ・リョンヘ〉氏の)2人とも空港に出てくるし、最新型ヘリコプターや車も用意する」など、具体的な儀典計画まで伝えられた。検察は同行事の直後、キム・ソンテ元会長が約束した300万ドルのうち70万ドルを北朝鮮のリ・ホナム工作員に渡したことを把握している。
これと関連して、李在明代表は昨年9月、検察の事情聴取で「李華泳元副知事が私に内緒で独断により推進した」と述べたと報じられた。
検察は、李在明代表が「単独訪朝」を積極的に推進し始めた時期を2019年初めとみている。 検察は起訴状で、「2019年2月のハノイ米朝首脳会談が決裂し、南北関係に関心が集中すると、李在明氏は『道知事訪朝を推進せよ』と指示し、これに伴い金湧(キム・ヨン)報道官や鄭鎮相(チョン・ジンサン)党代表政務調整室長など政務会議メンバーが李華泳元副知事に対し、道知事訪朝を積極的に推進するよう数回要求した』と述べている。
起訴状によると、同年5月からサンバンウルと北朝鮮が訪朝費用の金額をめぐって交渉を行うと、李在明氏側は京畿道知事の公印が押された公文書を数回、北朝鮮(朝鮮アジア太平洋平和委員会員会)に送ったという。これは「経済考察団」という名称で訪朝を希望するので招待してほしい、という内容だったとのことだ。
このころ、北朝鮮側が「コメ10万トン支援を明言すれば、7月中に訪朝が実現する可能性が高い」と言うと、京畿道は「コメ10万トンを支援する」という内容を入れて公文書を送った。その後、京畿道は「台風被害復旧協力」「民族協力事業協議」など名目だけ変えて訪朝招請を要請する公文書を送った。キム・ソンテ元会長は7月末の70万ドルを皮切りに、翌年1月までに約束した300万ドルを北朝鮮に送った。
検察は、李在明代表が対北朝鮮事業を指示した状況も起訴状に記載した。李在明代表は2018年9月の「ティータイム」時、「実現可能な事業をまず選定し、集中的に推進せよ」と指示したという。また、平和協力局など対北朝鮮事業担当部署に定期的に報告するよう指示し、推進事項などを徹底的に管理したと検察ではみている。
李在明代表が対北朝鮮事業を主導した根拠として、検察は「李華泳副知事の訪朝は南北交流事業再開を推進中の李在明京畿道知事の意思によるもの」と京畿道側が述べたとされている2018年10月の報道資料を挙げた。
水原=キム・スオン記者、イ・ミンジュン記者