▲共に民主党の李相稷元国会議員が中小ベンチャー企業振興公団理事長在任中の2019年12月5日、全羅北道議会記者室を訪れ、懇談会を行っている/NEWSIS

 韓国検察当局は文在寅(ムン・ジェイン)前大統領の娘文ダヘ(ムン・ダヘ)氏の家族が李相稷(イ・サンジク)元国会議員から格安航空会社(LCC)イースター航空の関連会社「タイイースタージェット」での役員就任など総額2億ウォン(約2300万円)を超える便宜供与を受けていた事実を把握したもようだ。李元議員は中小ベンチャー企業振興公団理事長に任命されたほか、民主党から総選挙で公認を受けており、一連の便宜供与が文在寅政権からの優遇に対する見返りだった可能性を視野に捜査を進めている。

 本紙の取材を総合すると、全州地検は12日までに、文前大統領の元娘婿S氏が2018年7月から2020年初めまで李元議員が実質的オーナーだったタイイースタージェットの専務を務め、総額2億ウォン余りを受け取ったとみている。その資金には給与やダヘ氏家族がタイで住んでいた自宅の家賃などが含まれているという。S氏は航空業に関連する経験がなく、タイイースタージェットで韓国のイースター航空本体との業務協力、飛行機リース業務など比較的単純な業務を行っていたことが分かった。

 検察はまた、ダヘ氏の家族が韓国との間を往来する際、イースター航空の便を無料で利用していた形跡をつかみ、会社側から給与以外にも支援を受けた金品があるかどうか確認を進めているという。法律専門家は「文前大統領夫妻がそれまで娘家族の生活費を支援してきて、娘婿が就職して以降は生活費を与えなくなったとすれば、S氏の給与など会社側からのさまざまな支援は賄賂と判断される可能性がある」と話した。

 李元議員が2018年3月、中小ベンチャー企業振興公団理事長に任命された後、その見返りとしてS氏を特別採用し、家族のタイ移住に便宜を図ったというのが検察の見方だ。その過程で文在寅政権の青瓦台関係者らがダヘ氏の家族を支援した状況も確認しており、捜査を進めている。検察は最近、中小ベンチャー企業振興公団理事長の人選を担当していた趙顕玉(チョ・ヒョンオク)青瓦台元人事首席秘書官を被疑者に切り替えた。また、検察は2020年4月の総選挙で、李元議員が全羅北道全州乙選挙区から出馬する際、民主党の公認された過程を確認するため、当時公認から漏れた競合候補などを調べた。

 検察はイースター航空が2019年に観光需要の高い中国、シンガポールなど有望路線の運航権を国土交通部から配分された過程についても捜査しており、国土交通部から当時の運航権配分関連資料を確保したという。また、検察は2020年、イースター航空が経営危機でチェジュ航空への身売りを模索した当時の関係者の会話を記録したが録音記録も入手し、分析している。録音記録には「国土交通部がイースター航空の売却を助けようとしている」「李元議員が売却のために国土交通部長官ら高い地位の人物に会った」などという内容が含まれているという。検察は債務超過に陥っていたイースター航空をチェジュ航空に売却できるように政府が特別な支援を行ったかどうか確認している。チェジュ航空は2020年7月、「政府の積極的な支援意向と仲裁努力にもかかわらず、不確実性が大きすぎる」として、イースター航空の買収を断念した。

パン・グクリョル記者

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