社説
対北送金事件一審有罪、李在明代表への有罪宣告と変わらない【6月8日付社説】
韓国の進歩(革新)系最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表の側近である李華泳(イ・ファヨン)元京畿道副知事が、下着大手サンバンウル・グループの違法対北送金に関与した罪などにより、一審で懲役9年6カ月を言い渡された。この事件は、サンバンウルのキム・ソンテ元会長が2019年、当時の李華泳副知事の要請で北朝鮮にスマートファーム事業費500万ドル(現在のレートで約7億8300万円。以下同じ)、李在明・京畿道知事の訪朝費用300万ドル(約4億7000万円)、合わせて800万ドル(約12億5400万円)を代納したというものだ。水原地裁は、このうち349万ドル(約5億4700万円)を外国為替管理法違反と認め、李代表訪朝費用300万ドルのうち200万ドル(約3億1300万円)が北朝鮮側に直接渡されたと判断した。李・元副知事がサンバンウル側から受け取ったわいろなどについても有罪と認めた。
李・元副知事側は「裁判部は偏向している」と主張したが、有罪判決は予見されていた。秘密裏の外貨持ち出しに関与したサンバンウルの役員らが事実を認め、キム・ソンテ元会長も、カネを渡した際に北朝鮮側の人物からもらったという領収証まで提出した。ねつ造できない供述と証拠だ。裁判部は、こうした証拠を認めて「無謀なやり方で北朝鮮に巨額の資金を支払い、外交上・安全保障上の問題を引き起こした」とした。
判決文には、李在明代表についての直接の言及はない。だが李代表は京畿道知事だった19年5月、北朝鮮側に自分の訪朝を要請する公文を送った。北朝鮮側が訪朝の代価を要求すると、サンバンウルのキム元会長が代納した-というのが捜査結果だ。李代表は、自分は知らなかったという。だが李華泳氏は、李代表が対北事業の責任者として直接迎え入れた人物だ。そんな人物が密かに単独で対北事業を推進するのか。元副知事は「対北送金を李代表に報告した」と供述したが、後にこの供述内容を翻している。
この事件は、李華泳・元副知事が有罪と認められれば知事だった李代表も有罪を避け難い構造だ。被告側弁護人も、少し前に法廷で「李華泳氏に対する有罪判決は李在明代表に対する有罪を推定させる役割を果たすだろう」と述べた。だからありとあらゆる手を使って裁判の引き延ばしを図り、裁判の終盤には根拠もなく「検察庁酒席懐柔疑惑」まで持ち出した。民主党は、この事件を捜査した検察を捜査するとして特別検察官法まで発議した。民主党と李華泳・元副知事は、度を越した司法妨害を止めるべきだ。