▲イラスト=UTOIMAGE

 米粒ほどの大きさのセンサーで脳の状態を診断できる技術が開発された。このセンサーは手術ではなく注射器を利用して簡単に挿入できるというのが特徴だ。この脳センサーはゼリーのような性質のもので、人間の体内に入った後は、一定の時間がたつと溶けてなくなる。

 中国・華中科技大学電子科学科の臧剣鋒教授の研究チームは5日「脳の条件によって変わる無線ハイドロゲルセンサーを開発した」という研究結果を国際学術誌「ネイチャー」に発表した。

 研究陣は脳を精密に診断するために、超音波に反応するハイドロゲルセンサーを製作した。ハイドロゲルはゼリーのように多くの水分を含むドロドロした物質だ。今回開発されたハイドルゲル脳センサーは、縦・横・高さが各2ミリの立方体で、肉眼で確認するのが難しい大きさだ。

 ハイドロゲルは物質の特性によって外部の条件に敏感に反応する。センサーは頭蓋骨から脳に注入されると、圧力や温度、酸性度、流量に合わせて変化する。センサーは、特定の音響反射スペクトルを持つ周期的に整列した気柱を包含している。センサーを注入した脳に超音波を放ち、どのように変形したのかを調べれば脳の状態を診断することができる。

 研究チームはマウスとブタに脳センサーを注入する動物実験を実施した。脳センサーを超音波で分析し、これまで使用されてきた有線の脳診断機器と同等の測定結果を得た。センサーは注入部位から10センチまでの脳の状態を調べることができる。ハイドロゲルセンサーは4-5週後に二酸化炭素のような無害な成分に分解され、毒性もなく18週以内に完全に消失する。

 脳の診断はこれまで、脳のシグナルを感知する有線のプローブ機器が用いられてきた。脳の状態を正確に把握できるというメリットはあるが、針のようなセンサーを常に装着していなければならないため、移動する上で制限がある上、取り出す際の感染リスクも大きいという問題があった。研究チームが開発したセンサーは、わずか1回の注射でワイヤレスセンサーを挿入することができるため、手術侵襲を軽減できる。

 ただし、現段階ではセンサーのサイズがやや大きいため、注入口の広い注射器が必要で、ヒトへの毒性がないのか完全には確認されていない。臧教授は「注入口の広い注射器だと痛みや不快感を誘発する恐れがある」として「ヒトにとって安全に作動することを示すためには、より大きい動物を使った長期的な実験が必要だ」と述べた。

ソン・ボクキュ記者

ホーム TOP