社説
「MBCを死守すべき」…再度「放送通信委員長弾劾」を推進する共に民主党【6月5日付社説】
韓国の進歩(革新)系最大野党「共に民主党」は、MBC・KBS・EBSなど公営放送の社長や取締役を事実上自分たちの思い通りに左右できるようにする内容の放送3法を再度推進したいとした。表向き「公営放送の正常化」を掲げているが、実際には「MBCを死守すべき」という話を公々然としている。MBCを民主党の側に引き留めておくため、法律を変えようというのだ。今年8月にMBC大株主の放送文化振興会の理事人選に影響を及ぼすため、法律の施行時期も「公布即時」とくぎを刺した。民主党は、第21代国会でも放送法を一方的に処理したが、大統領が拒否権を行使し、廃棄されていた。
民主党は、野党だった2016年にも同様の放送法案を党論や大統領選公約として掲げた。だが政権を取るや、公約に反してKBSとMBCの社長を暴力的な方法で解任した。公営放送はその後、文在寅政権の宣伝役を果たした。再び野党になると、またも立場を変えて「政権の放送私有化の悪循環を断ちたい」と言う。ネロナムブル(私がやったらロマンス、他人がやったら不倫。ダブルスタンダード)だ。
民主党はまた、放送通信委員会(放通委)の金洪一(キム・ホンイル)委員長などに対して責任を問い、国勢調査を実施したいとした。放通委がMBC・KBSの取締役推薦権などを行使できないように委員長を弾劾しようというのだ。金委員長が弾劾されたら、放通委は理事定足数不足で運営が不可能になる。民主党は昨年末にも、当時の李東官(イ・ドングァン)委員長に対する弾劾を強行した。結局、就任して100日にもならない放通委員長は、具体的な法律違反の事実はないにもかかわらず辞任した。これにより放通委の業務が完全にまひし、年内に終わらせるべき141の放送局に対する再許可が不発になるという事態が生じた。放送掌握のため中央行政部処(省庁に相当)を無力化する横暴を、またも振るおうというのだ。
公営放送は大統領の権力だけでなく巨大野党からも自由であるべきだ。ところが民主党は、自分たちが権力をつかんだときと野党でいるときとでは完全に違う二重的な態度を見せている。2021年には、批判的メディアにくつわをはめようとする「言論懲罰法」も押し付けた。放送を自分たちの宣伝道具にしておこうと、立法権を乱用してきた。民主党が語る「言論改革」は「言論掌握」の別な言い方だ。