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拡声器による対北宣伝放送「いつでも可能」 韓国当局
【ソウル聯合ニュース】韓国国防部の関係者は4日、政府が南北軍事合意の効力を全面停止したことで軍事境界線付近での拡声器による北朝鮮への宣伝放送再開が可能になったことについて、「いつでも対北心理戦を実行できる準備ができている」と伝えた。
拡声器を使った宣伝放送は北朝鮮軍兵士に与える心理的影響が大きいとされる。拡声器は最前線に固定式が24台設置されていたが、2018年4月の南北首脳による「板門店宣言」を受けて撤去され、現在は倉庫に保管されているという。移動式拡声器16台も近隣の部隊で保管されているという。
軍の関係者は「固定式も移動式も数時間以内に稼働できる」としながら、指示があれば、すぐに宣伝放送を再開できる態勢が整っていると説明した。
ただ宣伝放送の再開は北朝鮮の出方を見ながら決めるようだ。準備しておくこと自体に、北朝鮮の挑発に対する抑止効果があると考えているためだ。
韓国内の脱北者団体が北朝鮮に向けて金正恩(キム・ジョンウン)体制などを批判するビラを飛ばすと予告し、北朝鮮がこれに対抗して再度ごみなどをぶら下げた風船を韓国に飛ばす可能性が高いなか、拡声器による宣伝放送を北朝鮮に対抗するための新たなカードとして考えているようだ。
拡声器による放送は1963年に始まり、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権だった2004年に南北軍事合意により中止された。その後、李明博(イ・ミョンバク)政権や朴槿恵(パク・クネ)政権で北朝鮮の挑発への対応措置として一時再開されたことがある。放送は主に、韓国の政治制度が北朝鮮より優れていることや北朝鮮体制の残酷さを伝えるほか、韓国の歌謡曲などを流すとされる。