最近韓国プロ野球のSSGは、日本独立リーグで活躍していた白川恵翔投手(23)を獲得した。助っ人外人エリアス投手の負傷による穴を短期間埋める選手として獲得したが、給与は6週間で180万円だ。1年に換算すると1億3500万ウォン(約1530万円)となる。白川投手は各球団3人に制限されている外国人選手枠(quota)に該当するが、これをきっかけにアジア枠をプロ野球にも導入すべきだとする意見が上がっている。アジア枠を1人分設けることで、全外国人選手の定員を4人にするというわけだ。

 プロ野球チームの団長らは最近開かれたワークショップで、こうした必要性を巡り意見がおおむねまとまりを見せたという。A球団の関係者は「依然として反対する球団もあるが、以前よりもアジア枠の導入に対して共感を示す雰囲気」だったという。KBO(韓国野球委員会)は「今すぐ具体的に進めていくというわけではない」との姿勢を示した。しかし、野球ファンの間では「プロ野球もアジア枠の導入を進めなければならない」という意見が上がっている。

 こうした議論は、韓国国内の4大プロスポーツのうち、アジア枠がないのは野球だけだということに起因している。サッカーは2009年、バスケットボールは20年、バレーボールは23年から、それぞれ従来の外国人選手枠の他にアジア圏出身の選手枠を追加した。

 これにより、素晴らしい実力を備えつつも、年俸が相対的に低い東南アジアの選手たちが一挙に迎えられ、全種目の運営に活力を生み出している。今シーズン男子プロバスケットボールMVPのイーサン・アルバノ(原州DB、フィリピン)は43試合で平均15.4得点、6.7アシストをマークした。年俸は12万8400ドル(約2000万円)だ。52試合で15.9得点、3.7アシストをマークしたホ・ウン(釜山KCC)の年俸5億6000万ウォン(約6300万円)と比べると、「コストパフォーマンス」の面で圧倒的だ。女子バレーボールでは、インドネシア出身のメガワッティ・パテウィ(正官庄)が目覚ましい活躍を見せた。チームの7年ぶりのプレーオフ進出に中心的役割を果たしたが、年俸は10万ドル(約1500万円)に過ぎなかった。パテウィに比べると、成績が見劣りする韓国人選手の年俸が4億ウォン(約4500万円)を超えることを考慮すると、球団の立場としてはコストパフォーマンスを見直さざるを得ない。

 プロ野球も似たような状況だ。韓国プロ野球選手の平均年俸は1億5495万ウォン(約1700万円)で、球団別の上位3選手は平均で10億4200万ウォン(約1億1800万円)を受け取っている。これに比べて日本独立リーグや台湾、中国などには実力はあるものの、年俸が低い選手がごまんと存在する。前回の杭州野球アジア大会で、実業団選手たちからなる日本代表は、韓国代表と対等(韓国2-0で勝ち)に渡り合った。中国や台湾も手ごわいチームだ。当時、韓国は台湾(プロ選手)に予選で敗れ(0-4)、決勝でリベンジを果たした(2-0)。台湾のプロ野球選手の平均年俸は約8400万ウォン(約950万円、2018年基準)で、最高年俸を受け取る選手でも5億ウォン(約5700万円)前後にとどまっている。

 野球界の関係者B氏は「外国人選手の上限がなく、資金力が豊富な日本プロ野球(NPB)の活発な獲得競争により、優れた外国人選手の獲得が年々厳しくなっている」とし「アジア枠が設けられれば、コストパフォーマンスに優れた選手を獲得し、球団経営や選手運用に役立てることができる」と話す。NPBは韓国と違って外国人枠の制限が存在しない分、1軍には4人だけが登録できる。そのため、球団は外国人選手を多い所で12人(ソフトバンク・ホークス)も置き、シーズン全体を見据えた運用を行っている。

 C球団の関係者は「2015年に10球団体制となって以降、試合数は大幅に増えたものの、選手の需給バランスが整っていない」とし「試合のレベルは低下し、戦力補強はますます困難となっている」と裏事情に触れた。さらに「日本の独立リーグや台湾のプロ野球に素晴らしい選手が多い。こうした選手を獲得できれば、リーグのレベル向上と人気上昇につながるだろう」と説明した。

■海外交流の活性化でリーグ発展に寄与

 反対意見もある。アジア枠以前に韓国人選手の育成に力を入れるべきだという意見だ。アジア枠を導入すれば、それだけ韓国人選手たちの居場所が少なくなるほかないというわけだ。このため「アジア枠の導入により外国人選手の定員が増えると、同じポジションの韓国人選手の有望株がチャンスを失う。中継ぎ投手など競争の少ないポストに制限すべきだ」とする声も上がっている。

 これに対し、各球団は「球団が韓国国内の高校、大学、独立リーグまで全て視察し、優れた選手を獲得するために動いているが、プロにふさわしい技術力を備えた選手は日本や米国などと比べると少な過ぎる」といった反応だ。さらに、日本独立リーグや台湾などからアジア枠で選手が入ってくると、その国の中継権による追加収益なども期待できる。2019年に発足した中国プロ野球の成長も、KBOリーグにとってはチャンスとなる。D球団の関係者は「中国のプロ野球はまだ準プロレベルだが、人気は上昇しており、成長も著しい」とした上で「韓国と中国のプロ野球選手同士の交流が活性化すれば、数億人が視聴する新しい市場が開かれる可能性がある」と話した。

ペ・ジュンヨン記者、ヤン・スンス記者

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