文在寅(ムン・ジェイン)前大統領の金正淑(キム・ジョンスク)夫人に対し与党側から提起された各種の疑惑に関連して、保守系与党「国民の力」所属の尹相炫(ユン・サンヒョン)議員が3日、「金正淑総合特検法」を発議した。

 尹議員は3日、韓国国会で記者会見を開き「金夫人を巡る疑惑を全て網羅し、(特別検察官による)捜査の過程で認知された事件も捜査対象とする『金正淑総合特検法』を発議する」と表明した。尹議員は「(2018年の)金夫人のタージ・マハル訪問はセルフ招請、血税観光、バケットリスト(死ぬまでにやりたいことリスト)外遊だったという状況が次々と明らかになり、韓国国民の公憤を買っている」と語った。

 尹議員が発議した「金正淑特検法」の捜査対象には、金夫人の衣装購入に特殊活動費が使われた疑惑、金夫人がひいきにしているデザイナーの娘が不正採用された疑惑、金夫人が警護処の職員に水泳の講習を受けた疑惑なども含まれている。この内、金夫人の衣装購入関連の疑惑は、現在検察が捜査中といわれている。

 金夫人は2018年11月、当時の都鍾煥(ト・ジョンファン)文化体育観光部(文体部。部は省に相当、以下同じ)長官とインドを訪れた。訪問の経緯を巡って文・前大統領は、最近出版した回顧録で「(私が)インド政府の招請を固辞したら、インド側から『それなら夫人を代わりに送ってほしい』と招請してきた」と記した。正常な「大統領夫人単独外交」だったという趣旨だ。

 だが国民の力は、都長官のインド訪問に金夫人が割り込んだことで韓国国民の税金が追加投入・浪費されたと疑っている。国民の力の議員らが公開した資料などによると、金夫人のインド訪問1カ月前まで、当時の外交部と文体部の間でやりとりされた公文に金夫人の名前はなかったのだ。

 文在寅政権は当時、大統領専用機(空軍2号機)を利用した金夫人のインド訪問のために、大韓航空と2億3000万ウォン(現在のレートで約2600万円。以下同じ)の随意契約を結んだ。この内、機内食費が6292万ウォン(約716万円)に上ることが分かり、物議を醸している。金夫人一行は計36人で、フライトのスケジュール上、1人につき4回の機内食が提供されたとして、1人当たり174万ウォン(約19万8000円)を使ったことになるというのだ。

 尹議員の「金正淑特検法」発議に、野党側は「政争用の特検法」だとして反発した。進歩(革新)系最大野党「共に民主党」の尹建永(ユン・ゴンヨン)議員は3日、MBCのラジオ番組で「海兵隊員特検の問題をぼかすもので、金建希(キム・ゴンヒ)大統領夫人防弾用の特検」「ののしるのも惜しい低質な政治攻勢」だと語った。同じく進歩系の野党「祖国革新党」の金補協(キム・ボヒョプ)スポークスマンは「国民の力も『特検共和国』の隊列に合流しようというのか」とコメントした。

キム・ジョンファン記者、キム・サンユン記者

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