580億ウォン(現在のレートで約66億円)相当の「不正軽油」を作って韓国各地のガソリンスタンドで販売した犯行グループ38人が韓国警察に摘発された。調べによると一味は、安価な船舶用軽油に自動車用軽油を一部混ぜて、あたかも自動車用軽油であるかのようにだまして売ったことが分かった。

 忠南警察庁刑事機動隊は3日、このような容疑で全北地方のある暴力団ナンバー2のA容疑者など合わせて38人を摘発し、このうち9人の身柄を拘束したことを明らかにした。A容疑者などは2021年6月から1年1カ月間、韓国各地でガソリンスタンド25カ所を直接運営し、「不正軽油」4200万リットルを販売した疑いが持たれている。これは市中価格で580億ウォン分に達する。

 船舶用軽油は1リットル当たりの価格が500ウォン(約57円)程度で、自動車用軽油のおよそ3分の1という水準だ。ただし色が違っていて、船舶用軽油は赤いが、自動車用軽油は黄色っぽい。調べによると一味は、不正軽油の色を自動車用のように黄色くするため、別途に化学薬品で処理を行っていたという。

 船舶用軽油は自動車用よりも硫黄成分が多く入っており、自動車の性能に問題を引き起こすだけでなく、粒子状物質(PM)の排出量も多いといわれる。大気環境保全法によると、自動車用軽油の硫黄含有量は10ppmを超過してはならないが、不正軽油からは318ppmの硫黄が検出された。

 不正軽油を作るのに使った船舶用軽油は、仁川港に停泊している大型船からひそかに抜き取ったものであることも確認された。警察関係者は「船長と共謀して船内の軽油を抜き取った」と語った。

 警察による調べの結果、一味は「L商事」という犯罪組織を作って組織的に犯行に及んだことが判明した。警察は「200億ウォン(約23億円)に達する犯罪収益は全て回収措置を取る」とした。

礼山=キム・ソクモ記者

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