【ソウル聯合ニュース】韓国統一部が31日発刊した2024年版「統一白書」によると、昨年の北朝鮮との南北貿易は搬入と搬出のいずれもゼロだった。南北間の交易が始まった1989年以降、貿易額がゼロになったのは昨年が初めて。

 今年の白書では、貿易額が「―」と表記された。23年度版の白書では貿易額が「0」と表記されたが、これは貿易額の規模が100万ドル(約1億5700万円)未満なら「0」と記載するという編集基準に沿ったもので、実際には物品13万6000ドル分が搬出された。

 新型コロナウイルス禍の2020~22年もわずかながら取引があった。防疫物品など少量の人道支援物資が「非商業的取引」として北に渡ったという。南北貿易統計では企業の商業的取引のほか、南北間の直接的な人道支援などの非商業的取引も集計される。

 人道支援は昨年も、政府の民間団体基金による支援(1億5000万ウォン=約1700万円)と民間レベルの支援(7億ウォン)の計9億ウォン規模で行われたが、第三国を通じたもので南北間の貿易統計には含まれなかった。

 南北を往来した人数も0人だった。訪朝は20年まで行われ、訪韓は18年が最後だった。朝鮮戦争などで生き別れになった南北離散家族の交流は、民間レベルでの生死確認1件と手紙交換2件が確認された。

 今回の統一白書は、「原則ある対北政策で南北関係を正常化」など六つのテーマで構成されている。昨年の統一白書にあったテーマのうち、「南北対話の努力」は削除された。

 南北の対話再開に向けた努力に関する内容は、「北との対話と協力の扉は常に開かれている」という原則論レベルの言及にとどまった。

 統一部は今回の統一白書の内容について、「尹錫悦政権の原則ある対北政策推進と北の人権改善、脱北者の定着支援強化の努力による成果を詳細に盛り込んだ」と説明した。

 統計や記録の一貫性の観点から約20年にわたり維持されてきた付録の構成や内容も、変化した南北関係と尹錫悦政権の政策基調を反映して大幅に変化した。

 ▼国軍捕虜・拉致被害者・抑留者の現況▼国連北朝鮮人権決議の現況▼国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁の現況――が追加された一方、▼金剛山・開城・平壌の観光客の現況▼南北の車両往来の現況▲南北貿易件数・品目数・類型別の貿易額――は削除された。

 また、統一方策に関する盧泰愚(ノ・テウ)、金泳三(キム・ヨンサム)元大統領の演説文が付録の冒頭に新たに収録された。統一部は、尹大統領が独立運動記念日「三・一節」の演説で「統一」について言及して以降、政府は新たな統一構想の策定を進めており、国民が参考にできるように演説文を収録したと説明した。

 統一白書は政府機関、民間団体や研究機関、公共図書館、メディアや関係分野の専門家などに配布されるほか、統一部のホームページにも掲載される。

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