▲打ち上げから2分で空中爆発した北朝鮮の軍事偵察衛星(写真=韓国軍合同参謀本部)

 北朝鮮が27日夜に打ち上げた軍事偵察衛星は発射から2分後に空中で爆発したが、その原因は「新型エンジンの欠陥」と推定されている。昨年11月に軍事偵察衛星1号機の衛星軌道到達に成功した時のエンジンを今回新型に交換したが、この新型エンジンに問題があったとの見方だ。

 北朝鮮が27日夜10時44分ごろに平安北道東倉里の西海衛星発射場から打ち上げた軍事偵察衛星を積んだロケットは2分後の10時46分ごろ、北朝鮮側の海上で多数の破片として探知されたため、打ち上げ直後に爆発したものとみられる。韓国軍合同参謀本部の関係者は28日「1段目ロケットが爆発したため、燃焼系統に問題があったと推定している」と述べた。北朝鮮の朝鮮中央通信も同日打ち上げ失敗を認め「新たに開発した液体酸素と灯油発動機(エンジン)の動作の信頼性に問題があった」と伝えた。北朝鮮が液体酸素燃料と灯油を活用したエンジンシステムを導入するのは今回が初めてだ。より強力な推進力を出せる新型エンジンを導入したが、結果は爆発に終わったのだ。

 北朝鮮が昨年11月に打ち上げた偵察衛星1号機のロケットには従来と同じ「白頭山エンジン」が使用されていた。これは北朝鮮製大陸間弾道ミサイル(ICBM)と同じエンジンだが、燃料は対称ジメチルヒドラジン(UDMH)と赤煙硝酸(RFNA)が使用されていた。これらは常温で保管できるため主に軍事目的で使用されている。

 これに対して今回のロケットには航空宇宙用灯油(ケロシン)と液体酸素を燃料とする新型エンジンが搭載されていた。液体酸素はマイナス183度で保管しなければならない。これらは米スペースX、韓国のヌリ号や羅老号などにも使用されている。燃料の保管や注入は難しいが、より強力な推進力を出すことができる。ロシアや米国を含む全世界で科学研究目的の宇宙ロケットに使用されている。

 韓国軍によると、北朝鮮が今回6カ月ぶりに新型エンジンを使用した背景には二つの意図が考えられるという。一つはより強い力を出せるエンジンを搭載することで、より重量のある弾頭をさらに遠くに飛ばせる性能を確保すること。もう一つは宇宙開発に使用される燃料を使うことにより、ICBM開発ではないと強弁することにあるという。上記の韓国軍合同参謀本部関係者は「北朝鮮が別のエンジンを使った場合、それにより(科学研究目的として)自分たちの正当性を多少強弁できるだろうが、これも弾頭さえ交換すればミサイルになるので安保理決議違反だ」と指摘した。

 北朝鮮が6カ月ぶりに新型エンジンを使用したことについては、ロシアや中国などから1段ロケットをそのまま持ち込んだ可能性も指摘されている。上記の韓国軍関係者は「全ての可能性を検討している」と述べた。

 北朝鮮は今回の発射失敗後、昨年の1回目と2回目の失敗の時とは違い異例にも今後の発射計画を明らかにしていない。合同参謀本部も再発射にはかなりの時間がかかるとみている。ただし今回の失敗を克服すれば、北朝鮮はより破壊力のあるICBMを発射する力を確保できるとの見方もある。別の韓国軍筋は「旧型の胴体と新型エンジンの不適合で爆発が起こったようだが、今後北朝鮮がロシアから技術を導入し胴体も新型にすれば、より強力なICBMを手にする可能性は高い」と懸念を示した。

 北朝鮮による今回の軍事偵察衛星打ち上げ直後、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は一連の内容について国家安保室から報告を受けたという。国家安保室は同日、安保状況点検会議を招集したが、この会議では「成功か失敗かに関係なく、韓半島と東北アジア、国際社会の平和と安全保障にとって脅威となる挑発行為だ」など非難の声が相次いだという。韓国大統領室が伝えた。

ヤン・ジホ記者

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