泥酔して警察官に暴行を加え、地区隊(交番)に連行された後も大暴れした男の頬を殴った警察官が、内部での懲戒処分を経て罷免されたことが分かった。

 ソウル冠岳警察署は今月13日、涜職(とくしょく)暴行容疑で送検された元警衛(警部補に相当)に対する懲戒委員会を開き、罷免処分を決めたと28日発表した。涜職暴行とは、公務員が職権を乱用して刑事事件の被疑者に暴行する行為を指し、停職・降格・罷免などの重懲戒を下すことができると韓国の警察公務員法で定められている。

 本紙が入手した懲戒委員会の決定資料によると、元警衛の懲戒事由には涜職暴行・服従義務違反などが適用された。懲戒委は「(元警衛は)公権力に対するじゅうりん行為を容認することができずに不正な振る舞いをしてしまったと主張しているが、他の方法で被疑者を制止することはできた」と指摘した。また、警察庁長表彰の記録が2回あり、被疑者とも合意に至っているが、これは懲戒の軽減事由に該当しないと判断した。現行犯を逮捕した後、被疑者の身柄を管轄署の当直室ではなく地区隊に留め置いた点も問題視された。

 警察によると、元警衛は、泥酔してタクシー運転手や警察官に暴行を加えた20代の男に対し、頬を殴るなどの行為をした涜職暴行の疑いが持たれている。男は昨年10月15日午前1時すぎ、70代のタクシー運転手に危害を加えた上、駆け付けた警察官の顔を殴り、同日午前1時30分ごろ管内の地区隊で逮捕された。その後、男はおよそ30分にわたり、勤務中だった警察官たちに対し「学が無いから警察官をやってるんだろう」などと侮辱した。さらに、勤務中の女性警察官に対してセクハラ行為に及んだ。警察が証拠収集を始めた後も、テーブルを蹴って「頭のおかしい警察の野郎どもめ。大したヤツらじゃないくせに。眼鏡をかけたクズ」などと暴れながらわめき散らした。

 このとき元警衛は、片手に手錠をかけられて座っていた男の頬を8回殴ったことが分かった。男は「警察官に殴られた」と119(警察)に通報した。その後、元警衛は男の所に行って謝罪し、示談金500万ウォン(約57万7000円)を手渡したという。内部監察に着手した警察は、元警衛の職位を解除した上で、半年後に罷免を議決した。

 また、警察は元警衛を涜職暴行容疑で検察に告発した。身内による告発は、所長の裁量で決められる。元警衛は検察から起訴猶予処分を受けた。起訴猶予とは、犯罪行為は認められるが裁判は行われないという意味だ。

 冠岳警察署の関係者は「公務員としてあるまじき行動だったという判断から、3人の外部委員を含む5人で構成された懲戒委員会で同意した」「懲戒が不当だと判断される場合、訴請審査委員会(不服審査請求)や行政訴訟の手続きを踏めばよい」と説明した。

ソ・ボボム記者

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