韓国が韓半島という「井の中」で北朝鮮の方ばかり見ている間に、日本の国際的な立場が急変している。日本は2006年の安倍内閣時代から、対外軍事力投射が可能な「普通の国」を志向する改憲を追求したが、第2次大戦敗戦国の再軍備に対する周辺国の懸念と国内の反対世論の壁を越えることができなかった。米国の東アジア安全保障体制においても、核心は断然韓米同盟であって、日本の役割は韓半島防衛のための支援に過ぎなかった。しかし10年代に入り、米中覇権競争が始まって以降、日本は自由民主陣営の東アジア防衛体制において、その地位と役割が急上昇する傾向にある。

 2010年に中国の国内総生産(GDP)が日本を上回り、台湾近くの尖閣諸島に対する中国の軍事的な脅しが始まったのに続いて、13年の習近平体制発足で中国の急速な軍事力増強が始まると、日本は中国をけん制する唯一の手段である米日同盟の大々的強化に乗り出した。10年の米日首脳会談を通して、尖閣諸島が安保条約の適用対象であるという共同宣言を発表したのに続き、12年には尖閣諸島を国有化してレーダー基地やミサイル基地を建設した(原文ママ)。米国が中国の南シナ海不法占有を防ごうと15年に始めた多国籍「航行の自由作戦」にも、日本は積極参加しており、防衛予算の2倍増額も進めている。

 国内政治の面で日本は、安倍内閣時代の2014年に平和憲法の新たな解釈を通して「集団的自衛権行使」の方針を発表したことにより、海外での軍事行動を合法化した。続いて22年には、岸田内閣が戦後77年を経て安保3文書を改訂し、敵国に対する先制攻撃を含む「反撃能力」の保有を公式化した。外交的な面でも、日本は20年に中国を包囲する米日豪印4カ国のQUAD結成の先頭に立ち、22年には日豪新安保共同宣言を通して準同盟レベルの安全保障協力格上げに合意した。23年には韓米日安全保障協力体発足の一助となり、最近は米日比首脳会談を通して中国を念頭に置いた3カ国安全保障協力体制を発足させた。日本は間もなく、米英豪のAUKUS活動にも加わる見込みだ。

 このように日本は、北大西洋条約機構(NATO)のような単一の地域同盟体がないインド・太平洋地域において、米国の忠実な同盟国として、中国の勢力膨張に対抗する自由民主陣営諸国を相互連結する全方位連結者の役割を遂行している。単に外交的役割にとどまらず、対中国の緊張が高まった南シナ海でこれ見よがしに米国と合同海上訓練を繰り広げ、中国の台湾侵攻時の参戦を公言するなど、軍事的関与も拡大しつつある。かつては日本のこうした動きが周辺国の懸念を呼ぶこともあったが、中国の露骨な軍事的脅威に直面した米国・オーストラリア・東南アジアのどこにもそうした懸念の兆しはなく、歓迎と支持の雰囲気の中で役割を拡大していっている。これを批判したり懸念したりする域内国は中国・ロシアと北朝鮮・韓国くらいしかない。

 急変する新冷戦の国際秩序の中で、全方位安保協力強化と対外軍事活動拡大を追求してきた日本のこうした動きは、韓国が見せてきた対外行動とは対照的だ。その時期、韓国は南北関係と北朝鮮の核問題にのめり込み、自ら国際的立場を委縮させ、国際社会の大勢とは懸け離れた「井戸の中のかわず」となることを選択し、北朝鮮と中国を意識して中立的あいまいさを維持しようと骨折ってきた。対米防衛費分担金も、日本は1996年からほぼ全額を負担してきたのに対し、韓国は分担率50%を超えないように心を砕いてきた。米中対決が始まって以来、インド・太平洋地域の各所にクモの巣のごとく安全保障協力ネットワークが形成されたが、その中に韓国の姿を見いだすのは難しい。一応存在はしている韓米日安全保障協力も、中国の顔色をうかがっているせいで、多分に外交的修辞のレベルにとどまっている。

 こうしていたら、やがて米日を主軸としてオーストラリア・ニュージーランド・カナダなどが参加することになるアジア・太平洋広域安全保障協力体の形成から、韓国だけが疎外されるのではないかと心配になる。このところ「韓半島天動説」という自嘲的なフレーズが韓国国内の一部で流行している。中世の人々は、宇宙が地球を中心に回る「天動説」を信じていたが、韓国人はいまだに宇宙が韓半島を中心に回る幻想の中で生きている-という意味だ。国際社会で忘れられていく北朝鮮の核問題を地上最大の安全保障上の懸案だと考え、それよりもさらに重要な南シナ海・台湾・ウクライナ問題には徹底して無関心な韓国人の自国中心主義、それは彼らが非難するドナルド・トランプの自国中心主義とどれほど違うのだろうか。

李容濬(イ・ヨンジュン)世宗研究所理事長・元韓国外交部(省に相当)北核大使

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