▲イラスト=パク・サンフン

 韓国の政府負債増加ペースに対する「警告シグナル」が相次いでいる。国際通貨基金(IMF)は過去10年間、韓国の政府負債の増加幅が非基軸通貨国11カ国で2番目を記録するなど、韓国の国としての借金が急速に増えていると指摘した。また、政府負債が20年後には国内総生産(GDP)の規模を超えるとの見方も登場した。少子高齢化で税収が伸び悩む中、社会保障支出が増えると予想されるからだ。

 国際通貨基金(IMF)が4月に公表した財政点検報告書(Fiscal Monitor)などによると、昨年韓国の政府債務の対GDP比は55.2%だった。2013年の37.7%に比べ17.5ポイント上昇した。非基軸通貨国11カ国のうちシンガポール(63.9ポイント)に次ぐ増加幅だ。

 政府負債とは、韓国政府が発表する国家債務に国策シンクタンクなど非営利公共機関の負債を加えた借金を指すが、国際比較時に主に使われる。国家債務は中央政府と地方自治体の借金を合計したものだ。韓国政府が発表した国家債務比率は昨年時点で50.4%だが、IMF基準による政府負債比率は55.2%となり、やや差がある。

 非基軸通貨国はIMFが先進国に分類した37カ国・地域のうち、ドル、ユーロ、円など8大準備通貨を保有していない国で、シンガポール、韓国、ニュージーランド、ノルウェー、香港、チェコ、イスラエル、スウェーデン、アンドラ、デンマーク、アイスランドなどだ。基軸通貨国はドル、ユーロ、円などの基軸通貨を使うため、国の借金が多くても自国通貨を発行して返すことができる。しかし、非基軸通貨国の貨幣は国際的に通用せず、国の借金が増えれば基軸通貨国より危険だ。

 昨年、韓国の政府債務の対GDP比は日本(252.4%)、米国(122.1%)、ドイツ(64.3%)などG7より低く、比較的健全な水準と言える。しかし、韓国が非基軸通貨国であることを考慮すると、今後の困難が増す可能性がある。これまで韓国の財政健全性を肯定的に評価してきた世界的な信用格付け会社フィッチが4月末、韓国の国家債務が短期間に急増し、対GDP比が50%を超えたと言及し、韓国の財政が国家信用格付けでこれ以上プラス要因にはならないと明らかにしている。

■韓国の政府債務、20年後には100%

 ブルームバーグ傘下の研究機関であるブルームバーグ・インテリジェンス(BI)によると、韓国の政府債務の対GDP比は2030年ごろに70%を記録した後、2045年には100%に達する見通しだ。韓国の国の借金の増加傾向はさらに顕著になり、2050年ごろには120%に達するとみられる。

 BIは急速な少子高齢化の影響で労働力が減少し、韓国の税収は伸び悩む一方、社会保障・医療費は増加し、20年以内に政府負債が問題として浮上する可能性があると予想した。

 IMFのリポートは今後、韓国の政府負債比率に影響を及ぼす最大の変数として金利を挙げた。金利が基本シナリオと仮定した2%より1%上昇すれば、政府負債比率は2050年に141%まで上昇する可能性があるとした。一方、同じ期間の金利が1%の場合は101%となり、金利が0%の場合は83%に低下する可能性もあると試算した。

 リポートは韓国の利払い費用について、2022年時点のGDPの0.9%から昨年には1.4%に増えたと分析した。また、この費用が2050年にはGDPの2.4%に増えると予想した。

■政府は徹底した歳出見直し

 韓国政府は財政健全性を強調し、毎年予算編成のたびに20兆ウォン台の歳出見直しを行ってきた。しかし、前政権の財政拡張の影響で、政府負債の管理が困難に直面している。韓国政府は国家債務比率を50%台前半から半ばで安定的に管理する計画だが、少子高齢化で増える財政需要を管理することは容易ではなさそうだ。

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は17日、財政戦略会議で「政府財政を見ると、借金だけをたくさん相続した若い家長のようにつらい心情を感じることがある。政府部門の利己主義から脱却し、成果が低いか非効率的な予算は積極的に構造調整してほしい」と求めた。

キム・ヒレ記者

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